【ハイキュー】愛されるバカについて。

33.遅刻します ページ35

______________夢を、見た。







どこかの体育館。


上から降るライトがまぶしくて、


私はサポーターをしていない足でコートに立つ。


皆 強くて、わくわくして、そこで＿＿＿＿＿＿＿＿＿




・

・

・


「ッ!!!」



がばりと上体を起こす。



「…ゆ、め…」




違和感を感じ顔をこする。汗をかいていた。



走ったあとかのように息が荒い。





「姉貴こら起きろ遅れんぞ!!!」


ドアを強くノックする音と、急かす弟の声。



「…」



あ、これだめなやつだ…



「…新、」


寝起きの声。でも、その声を出すのにも精一杯。


「新、」


「…なに」



数テンポ遅れて聞こえた返事。「…ごめん、」そう言うだけで彼は部屋に入ってくる。






「…アレ？」「…うん、ごめん。…連絡、入れないと」


「休めよ」


弟の眉根が寄せられた。「…言われてんだろ、無理すんなって」



「…」


私は首を横に振る。


「今日、試合」「マネは代わりが＿＿＿＿＿＿＿」



効くだろ。多分そう言いかけた弟を遮った。


「今日、及川先輩と」





「…」


その表情のまま固まり込む。途端に静かになった。



「…携帯 貸して」



弟はため息をついて私にうながした。


ベッド横にあったスマホを、黙って弟に渡す。





「＿＿＿＿＿あ、もしもし？影山さんですか、おはようございます、木下新です、」



彼は私から少し距離を置いて話し出した。影山くんにかけたのか。




「…はい、すみません。お願いします」


ボタンを指でタップして、私に無言で返す。


「…もう少ししてから、行けよ」



「…うん、…ごめん」


私の言葉には何も答えない。




もうこれで、何回目だろうか…



「…朝飯、持ってくる」


踵を返し部屋を出て行った弟に、静かに感謝の念をささげた。







・






そこで初めて、






・



「…ッ」





・








泣いた。

34.俺は知ってる、お前は知らない→←32.その時だけは本気で

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