貴方side ページ13
私は入浴剤を入れて、バスタブに浸かった。
浴室内にはゆずの香りが漂い、リラックスしながら松野君に初めて恋に落ちた日のことを思い出している。
けれども結局高校時代に彼に思いは伝えられず、私は別の男性から告白されて付き合った。
その男は私にだけ親切にしてくれて、誠意を感じたからだ。
だから、私も段々彼にひかれ、眼鏡をコンタクトに変えて、ナチュラルメイクをして学校に通うようになった。
それからは他の男もよってきたけれど、私には見た目が変わる前から優しくしてくれた彼しか見えていなかった。
彼なら、私を大切にしてくれると信じていたから。
しかし、いざ付き合って見ると日に日にボディータッチが増えていき、そういう対象でしか私を見ていなかった事に気づき私の方から別れた。
それでもきっとどこかで私自身も彼を愛していたのだろう、自分から振ったくせに、別れた日の夜はとても泣いたし、心臓に穴が開きそうなほど心が痛くなった。
彼が本当は私が好きだけどアピールの仕方を間違えていただけなら彼の心を壊してしまったのも事実だろう。
こんな私だけどもう一度恋をして、良いのだろうか。
否、こんなに痛くて苦しい思いをするのが恋愛なら、お互いの関係が深まる前に断ってしまった方が傷が浅くて済むだろう。
よし、松野君への返事は決まった、早速明日電話しよう。
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作者名:蒼井薔薇 | 作成日時:2023年1月29日 9時