291時間目 ページ11
少し肌寒い空き教室。私達は向かい合って座り、黙ったままご飯を食べていた。
ふとカエデちゃんが箸を止め、視線を彷徨わせた後私の方を見る。
「…ごめんね」
私も箸を止めてカエデちゃんを見つめる。
「私、酷い事言った。Aちゃんだってすごく辛い思いをして来たのに…」
『……あんな風に思うのは仕方ないですよ。カエデちゃんのような立場の人からすれば…余計に』
カエデちゃんは私の言葉に首を振って違う、と呟く。
「言い訳にしかならないけど、触手に宿った憎悪で頭が真っ白になったの。人殺しなんて…いなくなればいいなんて思った事ない」
ポロポロと彼女の目から涙が溢れた。
「本当にごめんね…」
『…もう気にしてないです』
カエデちゃんも苦しんでいたんだ。それに今となっては、あの言葉が本音かどうかなんてもう意味の無い事だろう。
『ただ怖かったんですよね…』
聞かれない大きさでポツリと言葉が出た。
私も、カエデちゃんも。仲は良かったけどお互いに隠し事をして、何処か壁を作っていた。ある一線を絶対に超えないように。
嫌われたくない。でも、本当の自分を知られるのが怖くて笑顔の下に隠していた。
結局私達も、ただ言葉が足りなかっただけなのかもしれない。
私は机の上に紙袋を置いた。カエデちゃんはキョトンとした後、その中身を除いて目を丸くする。
「これって……プリン…？」
私は微笑んで頷いた。
『仲直りしたくて、コンビニのですが買いました。殺せんせーに頼んで冷蔵庫に入れていてもらってたんです。さっきはこれを取りに行っていて。
私達、似てますね。タイミングまで一緒なんて』
「…そうだね」
その言葉に照れ臭そうに笑うカエデちゃん。
『…ありがとう、一緒にいてくれて。友達でいてくれて』
「私こそ、ありがとう」
絵莉も夏希も、大切な親友だった事に変わりはない。過去には戻れないから、過去の様にはしたくないから。
''大好きだよ''
心からの言葉に心からの笑顔を添えて。私の今の、大切な親友へ。
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uru(プロフ) - らぅさん» コメントありがとうございます！ここまで読んで下さり本当に嬉しいです！高校生編は最近連載し始めたので是非読んでみて下さい。 (2020年8月13日 21時) (
レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - コメント失礼します！！題名に惹かれて1話を読んでからあっという間に7話まで読み進めてしまいました‥w本編終了後は【2】が良いです！！高校生になってからの夢主ちゃんと赤羽くんのいちゃいちゃも見たいし‥(((長文失礼しました！！更新頑張ってください！！ (2020年8月13日 20時) (レス) id: 825ada6d1a (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - 澪桜さん» ありがとうございます、頑張ります！本編と共に、オリジナルの方も少しずつ考えていますので、是非楽しみに待っていて下さい！ (2020年7月4日 20時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - わーこれからどうなるのー！？ヤバい！めっちゃ楽しみです！！いつも勉強の合間に読んでて毎日の癒しなんですよ〜。だけどだんだん終わりが近づいてきて少しさみしいな〜なんて笑これからも頑張ってくださいね！uruさんのオリジナルのやつも楽しみにしてます！ (2020年7月4日 18時) (レス) id: 5d0f326b17 (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» コメントありがとうございます！確かに…高校生編はあまりありませんね… (2020年6月21日 12時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂流 | 作成日時：2020年6月10日 17時
