ピエローtwoー (ページ49)

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休み時間ー縁②ーページ49

『…あ…はい。そうみたいです』

忙しい…のかもしれないけど。あまり話さないからよく分からない。

「大変だろうけど、頑張ってね」

去り際、叔母さんが私の手に紙を握らせる。

「何かあったら連絡してね。何もなくても、ご飯くらいなら奢ってあげられるし」

そう言って、走って叔父さんの元へと行った。

お母さんの葬式の時。2人はとても悲しんでいたし、私の事をとても気にかけていた気がする。私を放って、ただ放心状態だったお父さんに、しっかりしろ、そう言っていた気がする。

今思えば、私達家族は親戚との付き合いがほとんどなかった。普通の家族じゃなかったから、割り切ってはいたけど。

ーーーーー

「何、このお菓子？これって結構高いのじゃない」

その夜、女が目敏く紙袋に入ったお菓子を見つけた。

『…叔父さんと叔母さんからです。家に訪ねて来たようで』

そう言った瞬間、黙ってお酒を飲んでいたお父さんの空気が変わった。急いで女からお菓子の箱を奪い取り、ゴミ箱に捨てる。

『え…』

「ちょっと！？何で捨てるの！？」

激しく抗議する女。

「彼奴がくれた物なんか食べる気はない。こんな物くれて…馬鹿にしてるのか」

そうぶつぶつと小さな声で呟いているお父さん。そんな取り乱した姿を見るのは、お母さんが死んだ時以来だった。

「お前も、２度と彼奴らに会うなよ」

『………は…い』

部屋に戻り考える。もしかすると、お父さんと叔父さんはあまり仲が良くなかったのかもしれない。少なくとも、お父さんは叔父さんを毛嫌いしているようだ。

確かにあの２人は綺麗な服に身を包み、お金には困っていなさそうだった。

お父さんは、嫉妬しているんだ。叔父さんの前だと、自分が哀れに見えて仕方ないから。

私はポケットに入っていた、連絡先が書かれた紙を取り出す。

無数の事象が１つの縁に繋がっている。

だから私がこの時、紙を捨てずに隠しておいたのも何かの縁であり、新たな出会いへの事象の１つに過ぎないのかもしれない。