ピエローtwoー (ページ41)

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87時間目ページ41

叫びそうになった。力無くぐったりとする赤羽君を見て、目の前が真っ暗になる。

「長引きそうだったんで、スモッグの麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

「き…汚ぇ。そんなもん隠し持っといてどこがフェアだよ！」

「俺は１度も素手だけとは言ってないぬ。拘る事に拘りすぎない。それもまたこの仕事を長くやっていく秘訣だぬ。至近距離のガス噴射。予期してなければ絶対に防げぬ」

やめて、もう見たくない。そう思っていた瞬間

「奇遇だね。２人とも同じ事考えてた」

意識を失ったはずの赤羽君が突然、相手に向かってガスを噴射した。訳が分からなくて、え…と声が口から溢れる。

ナイフを向けようとした相手を赤羽君は冷静に対処し、押さえ込む。

「ほら寺坂早く早く、ガムテと人数使わないとこんな化けもん勝てないって」

その声に寺坂君は呆れた表情を見せる。みんなは走り出して、おじさんの上に思い切り乗った。

「何故だ…俺のガス攻撃、お前は読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに…なぜ」

「とーぜんっしょ、素手以外の全部を警戒してたよ。あんたが素手の闘いをしたかったのは本当だろうけど、この状況で素手に固執し続けるようじゃプロじゃない。

俺らをここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし、俺でもそっちの立場ならそうしてる。

あんたのプロ意識を信じたんだよ、信じたから警戒した」

私の心配は最初から杞憂だったみたいだ。それでも、プロ相手に自分から闘いに行くことに理解ができない。

ただすごく怖かった。赤羽君が死んでしまうんじゃないかって。