ピエローtwoー (ページ35)

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81時間目ページ35

問題なく全員が崖を登り終える事ができ、ひとまず安堵する。問題はこれからだ。

「この扉の電子ロックは私の命令で開けられます。また、監視カメラも私達をうつさないよう細工できます。
ですが、ホテルの管理システムは多系統に分かれており、全ての整備を私１人で掌握するのは不可能です」

「流石に厳重だな。律、侵入ルートの最終確認だ」

烏間先生の指示に、律ちゃんは内部マップを表示する。

「私達はエレベーターを使用出来ません。フロントが渡す各階毎の専用ＩＣカードが必要だからです。従って階段を登るしかないのですが…

その階段もバラバラに設置されており、最上階までは長い距離を歩かなくてはいけません」

確かに、これなら悪用されやすい。

「行くぞ、時間がない。状況に応じて指示を出すから見逃すな」

音を立てないようにゆっくり扉を開け侵入する。しかし、入ってすぐに最大の難所、ロビーがあるのだ。警備員が多く通るのが難しい。

「何よ～普通に通れば良いじゃない」

ビッチ先生の言葉に私達は驚く。警備が厳しいのに簡単に通れる訳がない。

「状況判断も出来ねーのかよビッチ先生！！」

「あんだけの数の警備の中どうやって…」

抗議する木村君と菅谷君。ビッチ先生はロビーの中を確認して歩いて行く。

「だから普通によ」

おぼつかない足元で、警備員にぶつかった。

「ごめんなさい。部屋のお酒で悪酔いしちゃって」

一瞬で空気が変わったのが分かった。

「来週そこでピアノを弾かせて頂く者よ。早入りして観光してたの。酔い覚ましついでにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの」

そうしてピアノを弾くビッチ先生。警備員達を近づけ、隙を作る。

ピアノの音、そしてそれを弾くビッチ先生。なんて綺麗なんだろう。思わず見惚れてしまう。

そしてビッチ先生は、私達に合図をした。

《２０分稼いであげる、行きなさい》

それを見て全員通り抜ける。最後まで私は、ビッチ先生から目を離せなかった。