ピエローtwoー (ページ16)

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62時間目ページ16

場所は裏山のプール。寺坂君以外の生徒はナイフを持ってプールに散らばっている。

私も一応この場所に来ることにした。何となく、嫌な予感がして気になってしまうのだ。プールに入らず銃を持っている私を寺坂君は睨んだが、下を向いて黙っていた。

「なるほど、先生を水に落として皆に刺させる計画ですか」

楽しそうに笑いながら来た殺せんせー。今から暗殺を仕掛けるというのに、随分余裕そうだ。

「それで君はどうやって先生を落とすんです？ピストル一丁では先生を１歩すら動かせませんよ」

寺坂君が持っているピストル。それは対先生用のものではなかった。そこにまた違和感を覚える。

「ずっとテメーが嫌いだったよ、消えてほしくてしょうがなかった」

「えぇ知っています。暗殺の後でゆっくり２人で話しましょう」

舐めた様な顔をする殺せんせーに苛つく寺坂君。そして寺坂君は、その銃で殺せんせーを撃った。

ﾄﾞｯ！！

『…え…』

何が起きたか分からなかった。プールが爆破され皆が流されていく。信じられない光景にその場に座り込む。殺せんせーが必死で助けているのが目に入った。

「嘘だろ？これ、こんな事するスイッチだなんて聞いてねーよ」

何それ。寺坂君が考えたんじゃなかったの？あんなに自信満々だったのに。こんな…こんな事って…。

「…何これ」

赤羽君が音を聞いてやって来た。その事に少し安心する。

「俺は…何もしてねぇ…。話が違ぇよ、イトナを呼んで突き落とすって聞いたのに」

「なるほどね…自分で立てた計画じゃなくてまんまと騙されたわけ」

「言っとくが、俺のせいじゃねェぞ！こんな計画やらす方が悪いんだ。皆が流されてったのも全部奴らが悪い…」

その言葉に怒りを覚える。責任逃れをしようとする寺坂君に思わず言い返そうとしたが、赤羽君が遮るように寺坂君を殴った。

「ターゲットがマッハ２０で良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯にされてるよ。流されたのは皆じゃなくて自分じゃん。人のせいにする暇あったら、自分の頭で何したいか、考えたら？」

そう言って赤羽君は私の方へ来て手を伸ばす。

「立てる？水本さん」

球技大会の時と同じ光景に、少し体の力が緩んだのを感じた。

『うん』

返事をして赤羽君の手を取り、みんなの元へ走った。