#37 ページ39
「もういいって…」
五条悟悟は呟いた。その声色が今まで聞いた事のないもので、思わず彼に視線を向ける。
「…よくねぇ…」
『…え?許して欲しくないの?』
許して欲しくて、謝ったんじゃないの?
そう聞くと、五条悟は気まずそうに前を向く。
「その意味なら…いいけど…」
…一体どの意味だと思ったのよ。それを聞くより早く、五条悟悟がまた口を開く。
「それより、お前はまたこんな時間に何してんだよ」
『寝れなくて…』
「…明日が楽しみだからとかか?」
『…そう、ね…』
歯切れの悪い受け答えに五条悟は訝し気に私を見る。多分、今誤魔化してもそれを許してくれないと思う。五条悟はそういう人だから。
『…実はあまり楽しみじゃないの。むしろ憂鬱で』
間を置いてから「そ」とだけ五条悟は答えた。冷たくて、適当に見えるけど、きっとそれが五条悟なりの優しさなのだ。
…私が、言いにくい事だって気付いているから。深く追求しようとはしないのだ。
『…あのね』
言いにくい、けど。他の人に言い振り回す様な人じゃないから。
『まだ小さかった頃の誕生日で、両親がケーキを買うために出かけて…結局2人はそのまま帰ってこなかった。いなくなっちゃったのよ』
お母さんとお父さんがいなくなった理由も、ずっと見えていたものも。今なら考えなくても分かる。
そんなに気にする事でもない。少なくとも、この世界では私みたいな人はたくさんいる。
『私、“普通”じゃないでしょう?呪力を持ってるせいで、呪霊が見えて…。馬鹿だから…素直に思っている事言っちゃったせいで周りから気味悪がられて。そのせいで…1人なの…ずっと、あの日から』
''気持ち悪い子''
『だから、嫌い』
大切な人を奪った誕生日なんて、大嫌い。
346人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななき - もー死ぬほどキュンキュンとまりません、もっとお願いします!!!!!!?!!!!!! (11月30日 23時) (レス) @page46 id: f371c2d5cf (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 水泳進化人さん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年6月28日 17時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - あー…好き、めちゃめちゃ好き…それだけです。 (2021年6月19日 19時) (レス) id: ddf2ca19b2 (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 星空の砂時計さん» ありがとうございます!!更新ゆっくりですがこれからもよろしくお願いします!作品、機会があれば読ませて頂きますね…! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月17日 16時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:憂流 | 作成日時:2021年2月15日 18時