#27 ページ29
そんな優しい顔、初めて見た。
きゅう、と胸が締め付けられるのを感じる。
『わた…し……っ、』
思った以上に掠れていて、声が出しにくい。眉を顰めた私を見て、五条悟は「もう喋んな」と言う。話さないなら少しは楽になるけど、聞きたい事や言いたい事が多くてもどかしい。
取り敢えず、何故ここに…私の部屋にいるのか、という事を口パクで伝える。
「…お前さ、気づいてねぇの?」
『……?』
…何を?
五条悟は目線を1度斜め下に向けた。私もそれを追いかけてそちらに目を向ける。
五条悟の服を掴んでいる私の手があった。
『ーッ!?』
「倒れた時からずっと掴んでんだよ。で、仕方なく俺もここにいるって事」
すぐに服から手を離し、五条悟に謝ろうとすると口を塞がれた。
「謝んなくていーから」
…どうして分かるのよ。謝ろうとしたのに、謝るなと言われて。じゃあ、私が言わなければいけないのは。
''ありがとう''
口パクでそう言うと、五条悟はほんの少し口角をあげた。それから彼は、スポドリを飲むか聞いてくる。私は頷いて、体をゆっくり起こす。それだけでも億劫なくらいとにかく体が怠い。
ん、とスポーツドリンクの入ったグラスを受け取り、口に入れる。冷えた液体が渇いた喉を通り、気持ちがよかった。飲み終わると、五条悟はグラスを私の手から取り、ベッドへと寝かせる。
''五条悟、今日はすごく優しいのね''
スマホに打ち込んだ文字を見せると、五条悟はフッと笑う。
「普段も優しいんじゃなかったか?」
''そうだけど、いつもより優しくてレアだわ''
「何だそれ」
''それに…''
数文字打つけど、全て消した。
それに…私を見る目がまるで大切な人を見る目みたいで、勘違いしそうになる。
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ななき - もー死ぬほどキュンキュンとまりません、もっとお願いします!!!!!!?!!!!!! (11月30日 23時) (レス) @page46 id: f371c2d5cf (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 水泳進化人さん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年6月28日 17時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - あー…好き、めちゃめちゃ好き…それだけです。 (2021年6月19日 19時) (レス) id: ddf2ca19b2 (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 星空の砂時計さん» ありがとうございます!!更新ゆっくりですがこれからもよろしくお願いします!作品、機会があれば読ませて頂きますね…! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月17日 16時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2021年2月15日 18時