#32 ページ34
「ちょっと五条」
机に伏せていた顔を上げれば、硝子が怒りで満ちた目で見つめていた。その隣には夏油もいる。怒っている理由は考えなくても五条には分かっていた。
「Aに何言ったの?」
「関係ねぇだろ」
「出た、すぐそれ言う」
うげ、と顔を明らかに顰めた硝子は、握り締めた拳を躊躇なく五条の腕に向かって突き出した。
「Aを泣かせるなら殴る」
…もう殴ってんじゃねーか。しかも地味に痛ぇ。
腕をさすりながら硝子を睨んだが、鼻で笑われるだけだった。
「…あいつ…泣いたのかよ」
「さあ?私の前では泣いてないけど、から元気なのには変わりないし」
「………」
傷付けたのはあの時の反応で分かってる。言い過ぎたのも、言わない方が良かったのも。でも…
夏油と目が合うと、溜息を吐かれた。仕方ない奴だとでも言いた気な顔が、五条には少し癪に触る。
「私、前に言わなかったかい?Aに気がないって」
「やっぱ嫉妬かよ」
「はあ!?別に嫉妬なんか…」
夏油の溜息混じりの言葉に、硝子は呆れた視線を五条に向ける。そんな2人に反論しようとした五条だが、中途半端に言葉を切った。それから、何か言いた気にしながら口を開けたり閉じたりを繰り返す。
それを見て、思わずといった様子で夏油が吹き出した。
「分かりやすいね、悟は」
緩んでいる口を手で隠しているが、隠しきれていない。さっきから何だよその顔は、と五条は内心で悪態をつく。
「自覚したかい?」
核心的な言葉には五条は答えない。夏油もそれを分かっているから、特に答えを強要した訳ではなかった。
「……まあ…」
だから驚いた。その一言に。
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ななき - もー死ぬほどキュンキュンとまりません、もっとお願いします!!!!!!?!!!!!! (11月30日 23時) (レス) @page46 id: f371c2d5cf (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 水泳進化人さん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年6月28日 17時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - あー…好き、めちゃめちゃ好き…それだけです。 (2021年6月19日 19時) (レス) id: ddf2ca19b2 (このIDを非表示/違反報告)
憂流(プロフ) - 星空の砂時計さん» ありがとうございます!!更新ゆっくりですがこれからもよろしくお願いします!作品、機会があれば読ませて頂きますね…! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月17日 16時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2021年2月15日 18時