第九十一話 ページ44
「すばしっこい奴ですねぇ、脚に針を受けたというのに」
いつの間にか木の上に移動していた玉壺がそう言った。
「ん…?この血の匂い…!もしや貴方は稀血ですか!」
『…だったら何?』
「ヒョッ、聞いた事がある…聞いた事がありますよ!無惨様が稀血の女に血を分けたと…。その後死んだと思われてましたが…まさか生きていたとは」
無惨が私の事を…?
……あれ、でも。私が鬼になって此処にいる事、無惨は知らないの?
「まあ良いです、貴方は最早用済みですからね」
また攻撃が来ると構えた時、玉壺がニヤリと笑った。
「おや、先程尊いと言っていた命がまた消えそうですよ」
『っ!?』
振り向けば、小鉄君がむいくんの所へ走って行っているのが見えた。背後には化け物がいる。
私は急いでそちらに向かう。金魚がまた吹き出した針が背中に数本刺さったが気にしている暇はない。
痺れ始めた身体を動かして小鉄君の元へ走った。
「痛っ…!うわぁ血だ!!」
斬られてよろける小鉄君。化け物は既に次の攻撃体勢に入っている。
『小鉄君!!』
私は化け物と小鉄君の間に割って入り、彼を押した。
『ごふっ…』
化け物の攻撃が私に直撃し、鳩尾から大量の血が溢れる。痛みを我慢し化け物を爪で割いた。
「た、高梨さん…」
私の足元には、大きな血溜まりが出来ていた。
震える声で私を呼ぶ小鉄君に大丈夫、と言いヨロヨロとむいくんの方へ近付く。
むいくんは目を見開いて私を見つめていた。
私は水の膜に触れ、唇を当てる。人工呼吸をするように、むいくんの唇に触れるようにして。
フウッ…
沢山の息を吹き込んだ。
瞬間
むいくんが呼吸を使い、水の膜が破れた。
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uru(プロフ) - 。さん» あけおめです! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
。 - あけおめ。 (2021年1月1日 6時) (レス) id: 8e88cca1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - uruさん» 頑張って下さい!!この作品大好きです!!!! (2020年12月14日 2時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!そう言っていただきとても嬉しいです!! (2020年12月9日 18時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - うわああああ!もう!すきです!() (2020年12月8日 20時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年10月25日 11時