境界線。弐【時透無一郎】 (ページ5)

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第五十二話ページ5

花街までの道のりの途中に藤の花の家紋の家がある。私は夜の内にそこへ一足先に向かい、原作通り炭治郎達がやって来たのは次の日だった。

「A…！」

「えっ！？Aちゃんいるの！？」

私を見て驚いた声を上げる炭治郎と善逸。２人の後ろから、伊之助もひょいと顔を出し私を見た。

『久し、ぶり…』

「無事で本当に良かった！行方不明になったって聞いてずっと心配してたんだからな」

「無事じゃねーだろ、鬼になったんだから」

「伊之助！！」

何言ってんだよ！？と伊之助君を叩く善逸。炭治郎が申し訳なさそうに私を見る。

「ごめん」

『ううん、事実…だ、から。…怖ぃ…？』

「怖く無いよ！Aちゃんだもん！」

前のめりで言って来る善逸。何、それ…と思わず笑ってしまう。

「AはAだからな」

『ありがと…たん、じろー』

微笑む炭治郎に私も笑い返す。

「そういえば、Aも任務に行くのか？」

『う、ん。宇髄さん、に言われ、て』

その時、話は終わったかと言って部屋に入って来た宇髄さんに私は頷いた。向かい合う形に座り直し、今回の任務について聞く。

「遊郭に潜入したらまず俺の嫁を探せ。俺も鬼の情報を探るから」

「とんでもねぇ話だ！！」

善逸の大声が頭に響いた。

「あ゛あ？」

「ふざけないでいただきたい。自分の個人的な嫁探しに部下を使うとは！！しかもAちゃんまで！！」

バン！と畳を叩き、善逸は叫び続ける。

「はぁ？何勘違いしてやがる！」

「いいや、言わせてもらおう！！アンタみたいに奇妙奇天烈な奴はモテないでしょうとも！！

だがしかし！！鬼殺隊員である俺達をアンタ、嫁が欲しいからって！！」

散々な言われようだけど、宇髄さんはイケメンだからなぁ。柱でも１番モテるし…。

「馬ァ鹿かテメェ！！俺の嫁が遊郭に潜入して鬼の情報収集に励んでたんだよ！！
定期連絡が途絶えたから俺も行くんだっての！！」