第八十一話 ページ34
ベチンッ
『ーッ痛ァ!!』
急に感じた痛みにおでこを抑える。
え!?何でデコピンするの!?久しぶりだからめっちゃ痛い!!
『いきなり何!?』
「……別に」
理由もなく急にデコピンする人なんていないよ。
……いや、むいくんならあり得るか。
『むいく…』
────ゴロゴロッ!!
『ーッ!!』
突然聞こえた雷の音に耳を塞ぐ。少しすれば雨音も聞こえてきた。
鬼になったせいか人間の時よりよく聞こえる。
「A」
『あ、はは…。無駄に聴覚優れてるから…』
笑えてるか分からないけど、心配させないように笑顔を作る。私を見てむいくんが眉根を寄せた。
「……1人じゃないよ」
キュッとむいくんが手を握ってきて、思わず息を呑む。
「…僕も…いるから」
『……うん、ありがと』
私は微笑んで、その手を握り返す。それから私達は他愛もない話を駄弁っていた。
『…むいくん』
「…何」
『刀、新しく作らないの?』
前持っていた刀は折れてしまった。代わりだと言っていたけど、使い慣れている刀の方がやっぱりいい。
それに此処は刀鍛冶の里。折れたなら直す事が出来る。
「…作るよ、これ刃こぼれしてるから」
『……前の刀は?』
「…さぁ?……誰だっけ、修行した時に会った…」
『炭治郎でしょ!』
暫く考えた後、思い出したのか声を上げた。
…このやり取りデジャヴな気が……。
「その、炭治郎って奴に投げた」
『投げたの!?』
驚いたけど思い出した。そういえば投げてたよ。炭治郎とも少し言い争いになったんだよね。
「何か言われたけど……何だっけ」
私といる時はそうでもないのに。私を覚えているのが特殊なだけで、むいくんの記憶はやっぱり朧げで危うい。
『……でも、霞は晴れるよ』
「…何か言った?」
『ううん、なんでもない』
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
uru(プロフ) - 。さん» あけおめです! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
。 - あけおめ。 (2021年1月1日 6時) (レス) id: 8e88cca1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - uruさん» 頑張って下さい!!この作品大好きです!!!! (2020年12月14日 2時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!そう言っていただきとても嬉しいです!! (2020年12月9日 18時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - うわああああ!もう!すきです!() (2020年12月8日 20時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:憂流 | 作成日時:2020年10月25日 11時