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第六十九話 ページ22

「A、お前まだ回復してないのか?」

私の様子に気付いた宇髄さんが目を細める。

『あはは…大丈夫、ですよ。すぐ治ります』

私は苦笑いした後、宇髄さんを見つめる。

『宇髄さん…ごめんなさい』

「は?何でAが謝るんだよ」

『左手…。私が弱い、せいで…守れなかった』

ちらりと自分の腕を見て、また私に視線を戻す。それから溜め息を吐いた。

「お前が派手に責任感じる事はねぇよ。これは俺のミスだ」

『でも……』

下を向いて唇を噛む。

左手を失った事は…戦う上で大きなハンデとなる。柱を続けられない可能性が高い。

結局…何一つ変えられてないじゃないか。

「A、こっち見ろ」

顔を上げると大きな手が頭の上にポンと置かれた。

「お前のお陰で左目は無事だった」

『…あ…』

左目…

『ほんとに…?無事ですか?視えてますか…?』

「ああ、両目開いてるだろ」

じわっと涙が滲んで行く。



「ありがとな。それから…よくやった」



『ーっ…!!』


堪えていたが、ついに涙が溢れ出した。

声を上げて泣いたら、雛鶴さんが背中を撫でてくれる。その温もりにまた涙が出るのだ。




もっと出来た。



もっと上手くやれた筈だ。



宇髄さんが左手を失くす事はなかったかもしれないのに。



ごめんなさい。



だけど…



''よくやった''



その言葉がどうしようもなく嬉しくて



本当に救われたんだ。

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uru(プロフ) - 。さん» あけおめです! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
- あけおめ。 (2021年1月1日 6時) (レス) id: 8e88cca1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - uruさん» 頑張って下さい!!この作品大好きです!!!! (2020年12月14日 2時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!そう言っていただきとても嬉しいです!! (2020年12月9日 18時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - うわああああ!もう!すきです!() (2020年12月8日 20時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:憂流 | 作成日時:2020年10月25日 11時

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