第四十八話 ページ1
私のために命を懸けてくれる彼に、私が出来る事って一体何だろう。
現時点では人を襲わないと判断され、私の処罰は見送る事で決定された。
むいくんに手を引かれて帰る中、私の頭を占めていたのは先程の言葉。
''…その時は…僕がAの頸を刎ねます。そして責任を取って…僕自身の命も差し出すつもりです''
泣くしか出来なかった自分が情けない。むいくんにたくさん重荷を背負わせてしまっているのに。
「……A」
『……』
「A、聞いてる?」
『…ぇ…?…あ、なに…?』
ハッとしてむいくんの方を見る。そこでやっと周りの景色も目に入って来た。いつの間に屋敷に着いたのだろう。
『ご、ご、めん。考え…ご、と…して、て』
中に入ろうとするが、むいくんがそれを制した。
「考え事って…さっき僕が言った事?」
私は一瞬迷ったが、素直に頷く。
「……怖い?目の前の奴に殺されるかもしれないから」
もちろん、怖くないと言えば嘘になる。だけど…
『むいく、ん…が…死ぬ、ほーが…怖ぃ』
私のせいでむいくんが死ぬかもしれない。自分が死ぬ事よりずっと怖い。
『…すき…』
むいくんは目を丸くし、それから顔を歪ませる。私を抱きしめた彼の背中に手を回した。
『…で、も…わ、私、は鬼…』
「関係ない」
即答したむいくんに苦笑いする。
ギュッと抱きしめる力を強くしたむいくんは、私が何を言いたいのか分かっているのかもしれない。
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uru(プロフ) - 。さん» あけおめです! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
。 - あけおめ。 (2021年1月1日 6時) (レス) id: 8e88cca1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - uruさん» 頑張って下さい!!この作品大好きです!!!! (2020年12月14日 2時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - ゆらさん» ありがとうございます!そう言っていただきとても嬉しいです!! (2020年12月9日 18時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - うわああああ!もう!すきです!() (2020年12月8日 20時) (レス) id: 77801e03dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年10月25日 11時