私の夫は浮気性 (ページ7)

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6話ページ7

貴方side

半神半鬼、名をA。

見た目は若いが、これでも数億年生きてきた。
そんな老いぼれにも、恋心というのは存在する。

いや…今は恋というよりは愛が正しいのだろうか。

白澤「…たく、あの鬼のせいで」

『おかえりなさい』

小言を垂れながら、扉を開けて入ってきた白くん。
頬に殴られた跡がある所を見ると、どうやら鬼ちゃんと道中喧嘩したらしい。

ちぇ…見たかったな

白澤「あれ？桃タローくんは？」

『邪魔になるから一寸ちゃんの所に泊まりに行くって』

白澤「そうなの？気使わせちゃったかな」

『申し訳ないですね』

白澤「ま、お言葉に甘えて2人でのんびりしようか。久しぶりに帰れたんだから」

『…そうですね』

そこから、私たちは近況を報告し合ったり、ふとした疑問を討論し合ったり、冗談めかしにからかったり、笑ったり

本当に…くだらない時間を過ごした

白澤「もうこんな時間か。夕飯の準備しないとね」

『なら私が…』

白澤「いいよ、座ってて。疲れてるでしょ」

『…すいません』

白くんの調理する背中をじっと見つめる
久しぶりの、夫の背中

『……白澤様は…私のこと本当に…』

白澤「え？何か言った？」

思わずボソッと口からこぼれた言葉。
白澤様は、鍋を混ぜながらチラッとこちらに目を向けた。

『いいえ』

白澤「そう？」

笑顔を向けて誤魔化す。
ああ…良くない感情が心で渦巻いている。

気持ち悪くて吐きそうだ。

『私は本当に鬼なのですね』

白澤「何を今更」

『今更…たしかにそうですね』

あなたにとっては、そうなのでしょうね。
でも私は今でも信じられないのです。

つい数日前まで、天女としてあなたの隣に立っていたように思うのです。
あなたと出会った日のことを、毎日のように夢で見るのです。

ああ…我ながらなんて女々しい。
もう老いぼれ同然だというのに。

『…』

白澤様はお優しいから、今でも私を妻として置いてくれているのだろう。
白澤様は神獣だから、神獣としての慈悲と本能で、鬼と化した私を哀れんでいるのだろう。

『白澤様、私がいない間は…恙無かったですか？』

白澤「……うん」

『そうですか、それは良かった』

白澤「…」

私が鬼となったのは自業自得。
それでもあなたは今も隣にいてくれる。

それなのに私は…
あなたの、私への愛が途切れることを恐れ、それを口に出すことさえ億劫になっている。

こんな歪んだ愛を持つ私に…
白澤様の隣にいる資格はない