私の夫は浮気性 (ページ6)

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5話ページ6

桃太郎side

A様はまた席につき、のんびりと茶をすすった。
黙って見てる分には、普通に天女みたな綺麗な人なんだけどな…

『それはそうと、桃ちゃんは白くんの助手してて大変じゃありませんか？あの人根はいいけど、女が絡むとバカになるでしょ？』

桃太郎「まあそうですね、大変ではあります」

白澤様の酒焼けの世話をするのも、女遊びに振り回されるのも…もう慣れたけど

日増しに養護力ばかりが上がって「あれ、俺お母さん？」なんて思うことも少なくないし

桃太郎「まあでも、女が絡まなければ基本いい人ですしね。あの人の弟子になってから薬の知識も増えました」

『それなら良かったです』

桃太郎「むしろAさんこそ、なんで白澤様なんかとの結婚を良しとしたんスか？浮気するのは目に見えてますよね？」

『そうですね…そもそも求婚したのは私ですし』

桃太郎「え！？」

『彼、昔から女の子には興味ありましたけどね。
今のように女遊びを進んでするような人じゃなかったんですよ』

桃太郎「え！？！？」

『あの人が女好きの浮気性になったのは、ほとんど私のせいなんですよね』

桃太郎「ええ！？！？！？」

待て待て待て
予想外の事実が並べられすぎて頭が追いつかないぞ

『とどのつまり、私の自業自得なんですよ』

桃太郎「そんな豪快なまとめられ方されても…そもそもアイツのどこに惹かれたんスか？」

『どこ…』

しみじみとした声をもらし、きょろりと部屋を見渡したA様

『顔』

桃太郎「不順！！仮にも元神様が顔面至上主義でいいのかよ!!」

『ふふ…桃ちゃんはツッコミお上手ですね』

A様はコロコロと笑いながら、茶碗に写った自分を撫でるように見つめた

『冗談はさておき』

桃太郎「冗談だったんスか…」

『当時は白くんも若かったですからね、色々と未熟だったんです』

桃太郎「はぁ…」

未熟で若い白澤様か…何時代だろ

そしてこの人も、見た目に反して案外年寄りなのかもな…

『神というのは、大抵どこかの感情が欠落しています。そうでないと煩悩やら欲やらで、道を踏み外しかねないですからね』

桃太郎「たしかに」

『でも白くんには、その感情があった…喜怒哀楽があった。欲があった。そのせいで周りと上手くいかずに悩むということもあった…』

顔を上げたA様は、とても穏やかな顔をしていた

『私は、彼のそんなところに惚れたのです』