第2話 : サボり魔 ページ4
貴方side
今日は恐る恐るドアを開けた。
昨日の彼の発言が、もし嘘だったらと思うとなんだか不安だったからだ。
しかし、そんな不安も屋上に足を踏み入れた瞬間に吹き飛んだ。
類「やあAくん。遅かったね、もう昼休みだよ？」
『うん。だからお昼持ってきた。ここで食べようと思って』
手に持っていたお弁当の包みを顔まで持ち上げて、彼に見えるようにした。
そのまま彼の隣に座り、包みを広げた。
『神代くんは食べないの？』
類「僕は30分前に食べ終わったよ」
『30分前…て授業中じゃん！』
類「あー、授業はだいたいサボってるからね」
そういう事か。
昨日「学校にいる間は大抵ここにいる」と言っていたから、変だとは思ったんだ。
彼がサボり魔だったとは…
優秀だから勉強の心配はしなくてもいいんだろうか。
類「Aくんは違うのかい？」
『さすがに授業はサボれないよ。出席日数かせがないとだし』
話しながら、いただきます、と手を合わせた。
類「おや、そんなものが必要なのかい？」
『神代くんは頭良さそうだからね。私は普通だから』
類「そうかい。でも、たまには息抜きしてもいいんじゃないかな」
『……』
箸を止めた。
(…そうだな)
サボることはいけないことだ、と小さい頃から教えこまれた。
しかし、それは周囲の輪を乱さないために作られたルールでしかない。
今の彼は、授業よりも大切なショーに、時間をかけたいんだろうな。
『そうだね。私もたまにはサボろっかな』
類「それなら、さっそく放課後まで僕の話し相手になってくれないかい？」
『嫌だ』
類「ダメかい…」
露骨に凹んだ仕草をしていて、思わず飲んでいた水を吹きそうになった。
彼が演技なのは見え見えだが、瞳の奥に本音も隠れている。
つくづく彼の心情は分かりにくい。
本心のまま凹んでくれたら、こっちも楽なんだけど。
『私の話も聞いてよ。そしたら付き合ってあげる』
類「！もちろんだよ」
この日、初めて私は授業をすっぽかした。
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そら(プロフ) - 穂花さん» 類くんの優しさを少しでも表現できていたら嬉しいです！ (2023年1月7日 11時) (
レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
穂花 - 類くんの優しさがとても感じられました。 (2022年11月6日 21時) (レス) @page14 id: 088ffe93fa (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - てるっぴーさん» ありがとうございます！更新遅くなってしまってごめんなさい！良ければまた見に来てくれると嬉しいです！ (2022年10月10日 11時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
てるっぴー(プロフ) - コメント失礼します。めちゃくちゃドストライクなお話です！自分のペースで更新頑張ってください！ (2022年9月10日 10時) (レス) @page10 id: 312a74a89f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら | 作成日時：2022年8月17日 17時
