２人の神と天使の話。【イナオリ】 (ページ3)

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世界へ通じる炎を持つ者。ページ3

私がくるより早く、彼は目覚めていた。
相変わらずの髪型。目は妹さんに似て綺麗だと思いながら、私は窓辺にふよふよと浮かぶ。

自分の足に手を置き、神妙な顔をする彼がどんな道を進んだのかはなんとなくわかる。
きっと、悔しい思いをしてきたはずだ。
今にもボールを蹴って走っていけたらと思っているはずだ。

私に力があれば、それを叶えられる。
神にも値する力があれば、叶えてあげられる。
奇跡も起こせる。
どんな方法でも力が手に入れば。

そう思った矢先、彼の携帯が鳴った。
彼はその画面の奥の誰かと会話している。姿は見えないし、声だけではわからないけど大切な人だということはわかった。
彼の声はひどく優しかったからだ。

自分のペースでいいんだよ。
画面の奥の声は確かに優しくそう言った。

彼もその言葉できっと思い直したのだろう。携帯を置くと、清々しそうな顔で部屋を出て行った。
彼の後を追う。
ふよふよ、ふよふよと浮きながら見る。
彼に祈りが必要ないことはなんとなくわかっていた。それでも、ダメ押しのように祈りたい。

「あなたの胸の炎が、どうか正しく灯っていられますように」

私は階段を降りていく彼を見て、力なんてまだまだいらないな、と反省しながら彼とは違う道を歩き始めた。