何も知らない (ページ8)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:11,032 hit

七度目ページ8

暑い。とてつもなく暑い。

そうか、今になって何故今日私が頗る絶不調なのか漸く理解できたぞ。私がそう思った瞬間に、お天気お姉さんの口から最悪な言葉が聞こえた。

“小暑”。画面の向こう側にいる彼女は確かに今そう言った。カレンダーを見ればなるほど、今日は今年の夏至から丁度15日。理解は出来たが納得はしたくない。

今日から日本は本格的に夏が始まる。

上記から察してくれたなら非常に有り難い。何せ私はもう何をするにも使い物にならない。こうして脳内で喋り倒しているのも正直辛い。ただしこの鬱憤をどうにか出来ないのが一番辛い為、悪いが勝手に喋らせてもらう。

つまり何が言いたいかというと、私は夏が嫌いである。いやれべち。嫌いとかそういう問題じゃない。嫌いどころの話じゃない。何、なんかもう生理的？生理的に無理？みたいな。とにかく本当に無理。寒いのはどうにかなるけど、暑いのはどうにもならない(謎理論)。

どうか見てほしい。目の前にいる母と兄のこの憐れんでいる瞳。可哀想にって顔が喋ってる。

因みにすーちゃんとパパは既に家を出ている。うちのすーちゃんは出来る子なので今頃余裕をかましているだろうが、パパは絶対的に遅刻だと思う。

『兄さん、私の代わりに学校行ってきてよ』

「いやね、Aちゃん。俺もそうしてあげたいのは山々なんだけどね、俺今日大会だから公欠なのよ。高校行かないの。」

ごめんねぇ可愛いAちゃんのために俺もどうにかしてあげたいんだけどねぇ。ぴえん。

この兄、こうして時々びっくりするほど気色悪いが、私が困っているときは大概役に立つ。今日はびっくりするほど役に立たなかった。

さて、どうしたものだろう。私は今日、悪いが一歩も外に出る気はない。仮病でもつかって休もうと思う。ほんと、明日から頑張るから。

ピンポーン

………一歩も外に出る気はない。本当に。

「A！出久君来たわよー！」

出久のお迎えを無駄にすることは何がなんでも許されない。仕方ない、学校くらいならなんとか乗りきろう。だが恐らく今日一日は表情筋が動くことはないだろう。

「A、おはよう！」

『おはよう出久！』

「あら良い笑顔ねA。思ってたより大丈夫そうじゃない。」