何も知らない (ページ5)

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五度目ページ5

基本的に帰りは出久と一緒だ。かなちゃんは弓道部に入部したし、かっちゃんは最近そこら辺の男の子たちとつるんでいるから。

出久は、とてつもなく優しい。

昔誰かが、言っていたような気がする。

誰のことを言っていたのか、誰が言っていたのかは全然思い出せないけど。誰かが、その人からは「泣きたくなるような優しい音がする」のだと。

出久は多分、それに当てはまる。

音とかは良くわかんないけど、恐らくあれだろ。お医者さんが着けてるあれを胸にでも当てたんだろ。じゃあこれ言ったのお医者さんかな。…それはそれでちょっとあれだけども。

それでも私は出久より優しい人に会ったことがない。

……？？？なんか、違和感があった。

いや、私の知り合いに出久より優しい人なんていない。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿はず、なんだけど。

「Aちゃん？帰らないの？」

『い、や…帰るよ。行こう、出久。』

何を一人で戸惑っているのか。今日の私はなにか可笑しいのだと思う。あぁ、川西くんからの告白のせいにしておこう。

「そういえばAちゃん、また告白されたの？」

『またって…出久、私そんなに頻繁にされてる訳じゃないよ？』

「でも今月入って三回目だよ？まだ入学してから二ヶ月もたってないのに…」

『そうだっけ？そういえばさ＿＿＿＿＿＿』

まただ。また、

私は知らない誰かを、探している。