何も知らない (ページ29)

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二十四度目ページ29

もう一人がどこに行くのかも分からない今、絶対に可能性がないのは工業。共学だけど女子少ないし、少ない中ならわんちゃん友達できるかもだし。

あと確実に私が学年一位なれるし。

「あ〜そういえば…緑谷んとこも揉めてるらしいぞ、進路」

『え？揉めてんの？なんで？』

「雄英、受けたいんだと」

そっか。

ああ、そうだね。

そうだったわ。

『………ふ〜ん』

「知らなかったの？」

『白々しいんだけどマジで』

コイツ絶対わかってる。

私を取り巻く人間関係理解した上で言ってる。

「…まあ、なんでもいいけど。

ぶっちゃけさあ、俺はお前の進路なんてど〜〜〜でもいいわけ」

『お前ほんと訴えられろ』

「でもね、お前の親御さんに頼まれてんの。

あの子絶対工業クソも興味ないんで通さないでくださいって」

『そっちかあ〜〜〜〜〜〜！！！！』

いや興味はないけど出来ないことでもないし。

いやね、パソコンとかは苦手なんだけど、はんだ？づけ？とかそういうのは大丈夫かなって。

あと制服可愛いし。作業服もかわいいし。

「ねえよくない？？東でよくない？？？

どうせ雄英と近いっつっても毎日顔合わせるわけでもないだろうしさあ、緑谷は仮にヒーロー科落ちても東は受けないだろうしさあ、」

『え？なんで？』

「え？

だってほら、あそこスライドで普通科行けるから。緑谷の成績なら筆記で落ちることないと思うし。」

この人は、こうでもちゃんと考えてるんだな。

出久が雄英を受ける可能性も、ヒーロー科に受かる可能性も、ちゃんとあることを前提に考えてる。

でもそれは出久を贔屓してるとか、過大評価してるとかではなくて。

普段から見ていて、ああコイツはこうだろうな、とか。そういうのを個人的でなく、あくまで客観的に。

………不本意だけど、

この人が出久の担任なら、とかちょっと思った。

「………あ、」

「二人とも雄英行くならお前もいっそ雄英行けば？」

『お前絶対わかってて言ってんだろ』