二十二度目 ページ27
すぐ耳元から聞こえる音楽を、どうにか止めようと手を動かす。
『あ"〜〜〜〜〜〜…起きたくねえ…』
だるい体を精一杯動かして仰向けに寝転がる。うつ伏せに寝るのほんとどうにかなんねえかな。
ぼーっとした頭で、夢の中の記憶を辿る。
久しぶりに夢見たし、なんで今更あんな夢。
確か、一年生の夏休み明けとか、それくらいの。
＿＿＿＿＿＿＿結局、どうにもならなかった。
あの日以来３人で過ごすことは無くなったし、かっちゃんにも出久にも避けられるようになった。
別に、ふたりともクラスは違ったし自然と関わらなくなっただけ。
ただ今でもはっきり覚えてるのは、それから二日後に出久に言われたこと。
眉を下げて、困ったように笑って。
もう二人で登下校するのはやめようって。
あの時のキレイな顔は、昨日のことのように覚えている。
キレイだったけど、二度と見たくないと思った。
あんな顔させるくらいなら、一緒にいなくていいって思った。
なんて、今そんなん思い出してもどうにもならない。うちのママは相変わらず3人で連絡取ったりしてるみたいだけど、何かを察したらしく、私達にまでそれを共有してくることはなかった。
正直ありがたかったし、ほっとした。
だって今の二人を見たくない。
かっちゃんは私を避けるようになった変わりに、出久に今まで以上にちょっかいをかけるようになった。
シャレにならないような言葉までかけるようになった。
見てられないし、見かけたら怒鳴り散らしてやろうと思った。
思ったけど、私がいるところでは二人は絶対に関わらない。
酷い話だ、ふたりとも私のこと腫れ物みたいに扱うんだもん。
まるで空気、否、空気はこんな存在感ないか。
じゃあ爆弾だ。
触れないように、関わらないように。
いいよ、別に。
好きにしたらいいよ。
『ばかみたい。朝からクソ重い回想すんなよ自分。
…………準備しよ、』
中学生最後の二学期、今日はその最初の日。
結局３年間、一度もクラスが同じになることはなかった。二人は一緒みたいだけど。
いいんだ、かなちゃんは３年間一緒だから。
『あっスマホ！忘れるなゼッタイ！！！』
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作者名：あねもね | 作成日時：2019年12月30日 17時
