何も知らない (ページ23)

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十八度目ページ23

沈黙が続いて、どれくらいたっただろうか。少し涼しくなったように思える風が木々を揺らす音や、どこからか聞こえる生徒達の笑い声が、自棄に耳に響いた。

きっと、言うほど時間は過ぎていないのだろうけど。指先を動かすことに躊躇うほど安定性のないこの時間が、早く終わってくれれば良いと、ただ呑気にそんなことを思った。無責任なことに、それを作り上げたのは他でもない私だ。

私が終わらせてしまいたいが、何しろ私達がこんな雰囲気になるのは初めてだ。たぶん。言ってしまえば、なんと声を掛ければいいのか分からない。仕方がないとは言わないけれど、どうにも出来ないのだって事実だ。こんなことになるなら、変に幼馴染みぶって彼らの元に駆け付けなければよかった。

うわ、いけない。不安になるとどうにも心が荒んでしまう。今ブラックが出てたぞA！幼馴染みぶるもなにも、私は彼らの幼馴染みであって、それが別の何かに変わることなどありはしない。そう、だから今度からこの言葉はやっぱり真っ向から否定しよう。(最近言われる悪口No.1)

駆け付けなければよかったなんて、彼ならそんなこと絶対に言わない。普段の私にしても、こんな情けないどっかの誰かみたいな思考は掠めることすら無いだろう。

あれ？彼って、誰だ？誰かって、誰だ？私の頭の中で、至って自然に浮かんだはずなのに…何故か、違和感が_________________私が訳の分からないことを考えていると、随分久しぶりに思えるような舌打ちが聞こえてきた。

「………なんもねぇわ、」

誰より早く口を開いたのは、かっちゃんだった。吐き捨てるようにそう言って、もう一度軽く舌打ちをして、いつもと変わらない態度で立ち去ってしまった。

一瞬だけ合わさったその瞳は、案の定何かしらを語っていた。

これ以上何も聞くな、引っ込んでろ、

＿＿＿＿＿＿＿＿お前には、関係ない。

そんな言葉が、かっちゃんの声で聞こえた気がした。