十七度目 ページ22
かなちゃんに断りを入れて、すぐに教室を飛び出した。勿論怪訝な顔をされていると思うが、こちらとしてはそれどころではないのだ。二人の歩いていた渡り廊下を小走り気味に通り抜ける。
なんで、あの二人なの。
何かあったら、いやそんなこと、だけどやっぱり、何かあったらじゃ遅い…色んな事が頭を過って、どれが本心か自分でも分からない。それでも思うのは。
二人が一緒にいるだけで、何かあったらなんて考えたくない。昔は、もっと仲が良くて。もう中学生だって、そんなの私が一番良くわかってる。でも、心配なんだよ、本当に。だって二人の事が大好きで大切だから。
………なにか、話し声が聞こえる。
ピタリと足を止め、耳を澄ます。なんだ、これじゃあスパイかなにかじゃないか。なんなの、本当…これだけの事がなんだっていうんだ。どうしてこんなにも、落ち着かないのか。
駄目だ、微妙に遠くて何も聞こえない…せめて視界が晴れていれば、読唇術でも使えたかもしれないのに。否、やった試しなどないが。
その時、確かに聞こえてきた、鈍い音。人が地面を這いずる音。何も考えずに足だけを動かすけど、どうにも手が震えている気がするのは、どうにしてだろうか。
目に映った光景は、私の想像と違うことはなかった。
『………なにしてんの、あんた達』
若干赤くなった左頬を抑えて地べたに座り込む出久と、震える右手を握り締めて立ち尽くすかっちゃん。私が声を掛けると、二人ともゆっくり私へ顔を向けた。ゆっくりに見えたのは、私の脳がそう捉えただけかもしれないけど。
なんでここに、とでも言うような顔だった。何かに怯えたような萌葱色と、憤慨を表すように瞳孔の開いた臙脂色。対照的なそれらは、何があったかを物語るようで。目は口ほどに物を言う、確かにその通りかもしれない。
…何があったとしても、二人が私の幼馴染みであることに変わりなんてない。
『ねぇ、なにがあったの』
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作者名：あねもね | 作成日時：2019年12月30日 17時
