＊遷宮寺ノ巫女ハ影ヲ操ル＊【壱】 (ページ4)

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4. 両面宿儺ページ4

「恵、これ持ってて」

「これは？」

「喜久福」

『喜久水庵"喜久福"』
仙台名物、超美味い。五条のオススメはずんだ生クリーム味。

「(この人土産買ってから来やがった、人が死にかけてる時に)」

「土産じゃない、僕が帰りの新幹線で食べるんだ」

「後ろ！！」

両面宿儺に変わった虎杖(体だけ)が五条に襲い掛かる。しかし、背後から襲われたにも関わらず...五条は余裕で避けた。

「生徒の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」

五条は宿儺の腕を掴み、顔を殴った。
軽く吹っ飛ぶ宿儺だが、直ぐに体勢を立て直す。

「(恐ろしく速い？違うな)
全く、何時の時代でも厄介な者だな。呪術師は」

力を込めた拳を宿儺は振りかぶる。

「だから如何と言う話でもないが」

しかし、五条は数を数えながら普通に立っていた。後ろには喜久福を抱えた伏黒が座り込んでおり、辺りには何故か瓦礫が浮かんでいる。

「そろそろかな」

その言葉と同時に、ドクンッと虎杖の体が脈を打つ。

「(クソ！まただ！乗っ取れない！！この虎杖とか言う小僧＿一体何者だ！？)」

静かに目を閉じ、次に目を開いた時には虎杖本人に変わっていた。それを見て遷宮寺は柄にもなく安心する。

「おっ、大丈夫だった？」

「驚いた、本当に制御出来てるよ」

「でもちょっとうるせーんだよな、彼奴の声がする」

「それで済んでるのが奇跡だよ」

トンッ＿五条は虎杖の額に指を当てた。すると虎杖は意識を失ったのか崩れ落ちる。それを五条が支えた。

「何したんですか」

「気絶させたの。
これで目覚めた時、宿儺に体を奪われてなかったら彼には器の可能性がある。
さて、ここでクエスチョン。彼を如何するべきかな」

「...仮に器だとしても、呪術規定に則れば虎杖は処刑対象です。でも、死なせたくありません」

「...私情？」

「私情です、何とかして下さい」

真剣な伏黒の表情に、五条は笑って「任せなさい」と言った。