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以前と変わらない様子のAを、俺も、プロシュートも不自然に思いながら、しかし彼女の中に踏み込んでいくことはしなかった
それができるほど、俺たちの間に用意された関係と言うのは気安いものではなかったからだ
用意された食事を口にしながら楽しそうに話をしたり聞いたりするAは、ほんの数日前に、この世で最も大切な人を亡くした人間にはとても見えない。
「───そうだね、基本的には毒は使ったことないなぁ。ほら、実感ないじゃん」
海のブルーが揺れてゆるりと笑みの形に細長くなった。
薄青で縁取られた中に、ほの暗い深海が見え隠れして、やがてあっさりと波に隠された
「A」
「ん?」
きょとりと首をかしげたAに、俺は次の言葉を無くす
黙ったままの俺を不審に思ったのか、Aが俺の名前を呼ぶ
「……いや、睫毛に何かついていたが、取れたようだ」
苦しい言い訳だったが、Aはあっさりと納得し、ありがとう。と、口元に笑みを浮かべた
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2018年7月1日 15時