和泉一織のヒミツ【和泉兄弟】 (ページ8)

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助けてページ8

人が通ってるのをかきわけて、走り続ける。目線が、こちらに集まっているのがわかる。なぜ、そんなに急いで走っているのだという目。

私だって……走りたくて走ってる訳では、無いんですからっ！！

やっと目的地に着くと、呼吸を整えてあたりを見回す。
ここは、ある電車の地下通路。普段ここは人で賑わう所なのだが、今は一織しかいない。
後で来るはずであろう、あの人を除けて。

約束の時間に来たはず、もしかして罠か……！？

と思った矢先、いきなり一織を後ろから抱きしめて耳元で囁く。

「いーおりくん……」

「……っ！」

触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るなっっっ！！！

だが抵抗してはいけない。抵抗してしまったらもう最後……。

「……用はなんですか……」

「冷たぁいな……。あのさ、どっか二人で行こう」

「……イヤだ……と言いましたら？」

やっと相手が、自分から離れる。うーんと考え、あっ！と浮かんだのか、こんなことを言いだす。

「仲間を傷つける」

「……っ！？」

「そうだなー……。アイドル活動が出来ない程、傷つけるっていう感じ！」

ふざけるな、私の仲間に手を出したりしたら絶対許さない。謝ったとしても許さないからな。絶対に。
だから私は、みんなを傷つけたくない。
静かに肯定した。

「……どちらへ、行くんです……？」

「それはね」

ニヤッと一織の顎を自分の方に持っていかせ

「僕とキミがずっと二人きりになれる場所……がいいな──」

それを聞いて背筋がゾクッとして、思わず涙が出そうになるのを必死に堪える。

兄さん……。誰か……。

早く助けて── 。