和泉一織のヒミツ【和泉兄弟】 (ページ2)

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きっかけページ2

一織が男性恐怖症であることを知ってるのは、兄の三月しか知らない。
さて、ここで疑問に思ったことがあるだろう。

『三月も男なのに、普通に抱きしめてるし……』

誰もが、そう思ったはず。
三月もそう思ったのだ。しかし、それを一織に言うと〈兄さんはいいんです。兄弟ですから〉とのこと。

一織は、いつから男性恐怖症になったのかというと。それは結構、前からなのだ。
あれはそう、三月は中学生で、一織が小学生の頃。
二人とも下校が早く、一緒に帰ることになった。そこで三月はトイレに行きたくなり、近くの公園で用を足すことに。
一織に「トイレ行ってくるから、ここで待ってろ」と指示をすると、素直に頷いた。
そしてトイレを済ませいざ帰ろうと、一織を呼ぼうとしたのだ。
しかし一織の周りには、男の人に囲まれており

『ボク一人なの？おじさんと一緒に帰ろうか？』

『一緒に行こうか……ね？』

『いっ……いやっ……！』

そのおじさんという者が、一織の腕を強く握り無理やり連れていこうとしたのだ。
つまり誘拐しようと企んでいたのだ。
その時の一織はまだ小学生。男だが力がまだか弱いため、いくら抵抗しても大人の力の方が強いに決まってる。

『やめろ！！このクソ野郎！！』

三月がそのおじさんを蹴飛ばして、一織を抱っこして走って帰った。
そこから一織は、男性恐怖症となったのだ。

一織の頭を撫でながらその事を思い出した。

オレがきちんとやっていれば……。
トイレなんて我慢すればこんな事には……。

そして、現在。
まだガクガクと震えてる一織。

どうにかしてこの男性恐怖症を、乗り越えないとな。