その日、君と出会って (ページ11)

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«紫耀side»

「そろそろ帰る？明日も仕事だし」

「そうだな」

日が暮れてきた頃、明日も仕事がある為、帰ることにした。

「あ、帰るんですか？」

「うん。明日も仕事だからね」

お会計をしようと、財布を開く。

「お金は大丈夫ですよ」

「え、でも…」

「この前のお礼です。友達の方も大丈夫ですから」

悪い気もしたけど何を言っても引かなそうな気がしたので、大人しく頷いた。

「ありがとね」

「いえ。また来て下さいね」

そう言ってニコッと笑うその子に、胸が高鳴るのを感じた。

「ま、また来ます…！」

神のニヤニヤとした視線を感じながら、俺はその店から出た。

「いやぁ、優しいね。あの子」

「うん…」

あの子の笑った顔が忘れられず、神の言葉に適当に応答する。

「紫耀、そろそろ…」

何か言いかける神の声が聞こえた時、背後から「ちょっと待って下さい！」という声が聞こえた。

「え…」

あの子が走ってきていた。

「あの…」

「ど、どうしたの…？」

「これ…」

綺麗に折り畳まれた紙を、ずいっと差し出される。

「じゃあ、また…」

お辞儀をすると、走って戻ってしまった。

その折り畳まれた紙を開くと、「永瀬廉」と名前が書かれていた。

これ届ける為に、わざわざ走ってきたのか…。

「永瀬廉…」

俺は段々と、その子に惹かれていってるのを感じた。