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«廉side»
夜10時。
本当なら俺は、もう寝ている時間帯。
俺は家に居る気にもなれず、ボーッとしながら歩いていた。
たったさっき、父は家を出て行った。
新しい人を作って。
母は俺を産んでしばらくした頃、病気で亡くなった。
父はそれから自暴自棄になってしまい、俺にまともな食事は与えずに、毎日酒を飲んではどっかへ遊びに行っていた。
そんな父も居なくなり、俺は家に1人になってしまった。
「はぁ…」
家に、帰りたくないなぁ…。
だからと言って、野宿するのも嫌やし…。
やっぱり、帰るしかないか…。
「矛盾やん」
乾いた声で笑った後、家に帰ろうと踵を返した時、誰かにぶつかってしまった。
「あっ…すみません…」
「痛てぇな…」
うわ…ヤンキーやん。
ヤンキーが後ろを歩いてたことに気付かないくらい、俺は考え込んでいたのか…。
「すみませんでした…」
頭を下げて謝った後、帰ろうと歩き出したら腕を掴まれた。
「え…」
「君、可愛い顔してるじゃん」
「あの…」
腕を掴んでる手を振り払おうとしても、相手の力が強すぎて振り払えない。
「俺と遊ばない？」
「いや…俺は…」
「良いじゃん。大体、こんな時間に歩いてるってことは、そういうことでしょ？」
そういうことって、どういうこと…？
考える暇もなく、俺はそのヤンキーに腕を引っ張られた。
「ちょ…辞めて下さい…っ！」
人が全く歩いていなかったので、誰にも助けを求めることが出来ない。
どうしようか考えていると、
「辞めてあげたら？」
近くから声がした。
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作者名：ナオ | 作成日時：2021年4月4日 0時
