Virtual Image

21 ページ21

・
Aside







ん、まぶしい、









寝起きには、まだ強すぎる光が入る








反射的に目をぎゅっと瞑ってしまう


そして再び、ゆっくり目を開けた








「み、」







「井上、さん、」









なんで、瑞稀くんが、？


起きてすぐだからか、頭がまわんない、









瑞稀「佐藤さん、寝不足だって。
保健室の先生が起きたら帰っていいって言ってたよ」




「そ、っか、」









こんなに“学校にいる”瑞稀くんと
会話したのは初めてかもしれない









アイドルの仮面を持っていない私は
ただの女の子に過ぎなくて





瑞稀「佐藤さん、目覚ましたし。俺行くね」





そんな私に興味が無い瑞稀くんは
すっごく冷たくて、怖かった









キラキラな衣装やステージを取ってしまったら
私にはなんにも残らない









そんなの分かってるのに

私の事気がついてくれるかな だなんて、
期待してはいけないことを望んでしまった









その上、瑞稀くんは私が好きなんじゃなくて
アイドルの私が好きなんだっていう現実を、

身をもって思い知らされた









それに、、、

ソロコンの練習ばっかりの毎日の中
学校で倒れるなんて、自己管理能力が低すぎる







いっぱいいっぱい、弱すぎる自分に対して


思わず、涙が零れた









アイドルとファンという形とはいえ、
両想いだなーと思っていた私を殴ってやりたい





これじゃ、ただの片思いじゃん









十分わかっていたことだけど、チクンと胸が傷んだ








・

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す