2019年5月4日 ページ6
出産予定日から一晩が明けた真理恵。 兆候はまったく見られない。
「初産は遅れるものだからねぇ」
「そうですよねー。 のんびりする時間があると思えば…」
こういう時に頼れる身寄りのいない名雲と真理恵。 不安に思った典子が床上げが済むまで離れに住み着くことになった。 テレビでも観てましょ、とつけた時。 聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
「──鎌倉市材木座の川上佐紀子さん、39歳が1週間前から行方不明となっており…」
──川上さんは先月27日午後4時頃、由比ヶ浜海岸沿いでの目撃情報を最後に手掛かりが掴めなくなっております。 目立ったトラブルも無く、揉め事を起こすような人柄ではないということで神奈川県警が100人体制で捜索しております。 また──
「佐紀子さん、いつか帰ってくるわ。 いつか、きっと…」
あの子煩悩だった佐紀子が理由もなく行方をくらますはずがない。 不思議なことに、絶対にまた会えるとの確信を抱く真理恵だった。
所変わって、ある大きな屋敷にて──。
「何でもいたしますので、どうか置いてもらえませんか?」
1週間前、突然遠くに飛ばされた佐紀子が頼ったのは麹町区富士見町4丁目にある大きな邸宅だった。 そこには長身でスラリと長い肢体に、日本人離れした顔立ちの主人とその妻、二人の娘が暮らしている。 天井の高い日本家屋だが、不思議なことに一室だけ絨毯が敷かれ、丸いテーブルと椅子が置かれている部屋がある。 二人の娘からの好感度が良かったことで、なんとか住まわせてもらえることになった。
「お
桜の季節に生まれたので櫻と名乗り、学者の家の女中として働く生活。 あまり長続きしないだろうと思いながら、今日を生きると決意した。
「何を歌いましょか?」
THE END
『お櫻さん』
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本当は佐紀子女王のお印(シンボルマーク)にしたかったのですが、いくら調べても情報が出てこなかったので桜にしました。 3月30日生まれですし。
着物の柄…あれは、ヤマユリなのかな? 百合だと、誰かと被ってしまうのですが…。 それ以外には皇族の紋様・菊や実家の榧などが浮かびました。 ちなみに、従姉にあたる香淳皇后のお印は桃です。
その曾孫にあたる眞子内親王はモッコウバラ、佳子内親王はゆうな、愛子内親王はゴヨウツツジ。
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