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2019年8月18日 ページ28
紀彦の担当する観光客の大群を見つけた。 短期のアルバイトにしてはなかなか口が達者で、赤い髪や碧い瞳の人とも難なく対話ができている。
「ノノちゃん、おきばりやす」。 自分を上回る能力を持つ息子に、逆に尊敬の念を抱く佐紀子であった。
誰もいないはずのアパートメントの部屋に帰ると「佐紀子、お客さんが来ているから」と言って兄が出てきた。 玄関には男物の靴が並んでいる。
どなたかしら、という疑問を胸に、佐紀子は居間兼客間に向かった。
「ごきげんよう。 家を外していてごめんあそばせ…」
顔を上げた瞬間、目に入ったのは同年代の男性ふたり。 片方は見慣れた河原理貴だ。 しかしもう片方は──。
「宮、さま……」
佐紀子が最も愛して、顔を見たかった人物との、決して本意的ではない対面だった。
THE END
『愛する人よごきげんよう』
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