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2016年4月5日 ページ6

4月5日、最近の学校はこの日の始業式が行われるらしい。

『3年B組 葵紗和子(あおいさわこ)』という新しい名札をつけた雇い主の次女も、クラス替えに期待を馳せながら学校に行った。 3年B組というフレーズにある学園ドラマを思い浮かべる真理恵。

「へえ、金八先生みたいですね。 本当に3年B組なんているんですね」

「真理恵ちゃんの学校は何クラスあったの?」

始業式ということもあり、午後は家にいるのだが紗和子は制服を脱ごうとしない。 それでは皺になってしまうと真理恵が注意しても彼女は聞かなかった。

「小学校は、4クラス? 中学と高校はクラス替えはありませんでしたよ」

「嘘! じゃあ、双子でも同じクラスになっちゃうの?」

「中学高校は私立女子校の音楽科でしたから、そもそも双子で入ってくるという例もあまり無かったと思いますよ。…あっ、でも偶然ってことはあったかも」

「偶然?」

含みのある言葉に、興味を示した紗和子。 どんな話があったの?…と、大きなダイヤモンドのような瞳を向けてくる。

「ええ、本当にあったんですよ。 同じ学校の同じ学科に入って、実は…」

「聞きたい聞きたい! 真理恵ちゃんお話しして!!」

こうして、真理恵の昔話が始まった。



今から10年…20年くらい前の話ですか、ある県にたった一つの中学校の音楽コースに、同じ名字を持つ二人の女の子が入学しました。 偶然にも専攻も同じで、二人はすぐに仲良くなりました。

誕生日は違い、血液型は分からないけれど住所は片方は平塚、もう片方は横浜でしたが、生後間もなく東京から引っ越してきたのは同じ。 更に、両親の離婚により母子家庭で育ったという共通点もありました。 互いが何を考えているかもよく分かる、心の通じあった親友同士になりました。

二人は「ゆうちゃん」「まり」と呼び合い、いつしか友人たちもそう呼ぶようになりました。

事件が起きたのは中学2年の秋頃、春休みに行く関西旅行の計画を練っていた時でした。 特に問題行動を起こした訳でもないのに、急に校長先生に呼ばれて応接室に入ったのです。 そうして、弁護士だという若い男性に引き渡されました。

「うわぁ、最近そんな事件があったよね。 弁護士だって言って女の子を拐っちゃったの。 この犯人は学校にまで乗り込んで、相当のやり手だね。 度胸あるね」

To Be Continued...

続・2016年4月5日→←2016年3月27日・八【80】



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作者名:宮泉ゆり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年9月21日 20時

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