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2016年5月20日【114】 ページ21

夜が明けて5月20日。 2日目は、朝から長崎市内観光に出た。

「眼鏡橋って本当に眼鏡みたいですね!」

中島川に掛かる26の橋のひとつ、眼鏡橋。 現在は堤防に組み込まれたハート型の石や、屋台の名物『ちりんちりんあいす』などを目当てに観光客が増加している。

例の女子大生4人組が喜びそうな観光地だ。

「アイスもとても美味しそう。 2つください、いくらですか?」

「300円だよ。 おや、アベックかい?」

屋台の年配の女性に懐かしのアベック呼ばわりされた彼らだが、昭和末期生まれの真理恵にアベックという言葉は聞き慣れなかったらしい。

「アベ? Ave Maria(アヴェ・マリア)?」

「ええ、そうですよ」

首を傾げ、見当違いなボケを口にする真理恵を横目に、見ていて清々しくなるくらいに肯定したのは名雲。

「やっぱりそうだったんだね。 最近の若い子みたいにベタベタしないで、まるでじいさんばあさんみたいだけどねぇ」

何か一言二言余計な言葉を言われた気もするが、それは聞かなかったことにしよう。

そもそも、アベックの意味すら分かっていない真理恵に理解しろというのも酷な話。 この炎天下の中で頭を使わせるのだから。

「名雲さん、アベックって何なんですか?」

「アベックというのは、フランス語で”〜と一緒に”という意味の前置詞で、英語のwithにあたる単語です。 日本ではかつて一組の男女を表すのに使っていましたが最近では──」

早口で説明する同居人に、説明する気など全く無いことを察知した真理恵。 もう良いや、と諦めた時。

「カップルという英単語が使われるようですね」

「か、カップルゥ!?」

英単語ならだいたいは分かる。 健康診断に引っ掛かったことが無いのが取り柄なので、聞き間違いではないだろう。 アイスを噴き出しそうになりながら、真理恵は言葉を繋ぐ。

「そこは肯定して良かったんですか!?」

いやダメでしょ、と一人で百面相状態。 それでも眼鏡橋を携帯電話のカメラで写真撮影しようとしている。

真理恵の携帯電話はCoCoMoの『F525iGPS』。 2003年発売開始の現在では古いモデルの携帯電話だが、修理に出したところ使えるようになったので現在も愛用し続けている。

余談だが、同居人の名雲は割と最先端のモデルを使用しているようだ。

「何か問題があると言うんですか」

To Be Continued...

続・2016年5月20日【114】→←2016年5月19日・四【113】



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作者名:宮泉ゆり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年9月21日 20時

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