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2016年3月27日・四【80】 ページ1

「ここはハイキングコースですから、こんな日にはたくさんの人が来るんですよ」

源氏山公園に向かう林道では、たまに観光客と思しき団体や、幼い子どものいる家族連れなどとすれ違った。

「都会の喧騒から離れたい時には良いでしょうね」

「着いたら、また人混みに揉まれますけど」

源氏山公園も、この時期は桜目当ての観光客が多い。

そして、近所には縁結びでそこそこ名の知られた葛原岡神社や、
小銭を洗って使うと何倍にもなって返ってくる銭洗弁財天など、鎌倉に行けばほとんどの人が訪れるような寺社が数多くあるのだ。

「ちょっと下ると源頼朝像があって、上ると高徳院の大仏があるんですよ。 それから、長谷寺からの眺めもとっても良いです」

二人がこんなに話したのは、実は初めてかもしれない。

あのマンションでは日中は二人とも家を空けているし、朝晩の食事時も会話は多くない。

夜は部屋数の問題で同じ部屋にシングルベッドを2台置いて寝ているが、会話なんてせずにさっさと夢の世界へ行ってしまう。

「かの有名な、『鎌倉の大仏』ですか」

「ええ、私もかれこれ十数年前に大仏の胎内に入りました」

「…入れるのですか? それは興味深い」

先ほど聞いた話が正しければ、名雲は真理恵と同郷ではないらしい。 故に、鎌倉にはそれほど詳しくない。

「この人にも知らないことってあるんだ」というのが正直な感想だが、却って人間臭くて好感を持ったのも事実。

「…でも、桜を見て、大通りに出て、八幡宮にお参りして、海に行くとなるとかなりの強行スケジュールになりますから、また今度にしましょう」

今日の目的は『都会の喧騒から離れてのんびり花見をする』ことにあるので、あまり目的を増やしたくない。

To Be Continued...

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今年の桜の開花は凄く遅かったので、3月末に行ってもろくに咲いていなかった気がします(汗)。

2016年3月27日・五【80】→



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作者名:宮泉ゆり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年9月21日 20時

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