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「A」
「あ、錦史郎」
錦史郎が話しかけてきた。
でも、彼が纏っているオーラが恐くて仕方がない。
「………錦史郎は人気だねー！スゴいよ………」
「べつに嬉しくない。それより、体育祭の練習が先だろう。」
「私は嬉しいと思うけどな…」
「そういえば、Aは障害物競争に出るのだろう？」
「うん、出るけど…………」
障害物競争
周りの女子が噂していたんだけど
お姫様抱っこがあって、それで一位を取れた男女は結ばれるらしい。
「そういえば私、お姫様抱っこの方に出てって言われたなー」
「………‼そうか。」
「お姫様抱っこされるなら、錦史郎にされたいな〜…なんて………」
ポツリと呟いた。
その言葉は、錦史郎に聞こえているわけで。
「今のはじょうだ…………んッ‼」
「お姫様抱っことは、これのことか？」
錦史郎は私を抱き上げた。
「錦史郎………！？」
錦史郎って、こんな子だったっけ？
なんて思ったけど、それより錦史郎の顔が近くて
顔が林檎みたいに赤くなるのがわかる。
「こうしてAを見るのも悪くないな。」
ふわりと笑う錦史郎を見て、胸が高鳴る。
「…………期待しちゃうよ」
「何がだ」
「だって、好きでもない女の子にお姫様抱っことか…」
錦史郎は好きな人とかいなさそう。
それに……
「私なんかをお姫様抱っこしても嬉しくないでしょ。」
所詮は
「所詮は、"幼馴染み"だから」
「………!あ、ああ。そうだな」
自分で言った言葉に傷つく。
そうだ、錦史郎は、私を一人の女として見てくれてないんだ。
そんな風に考えては、また傷ついていた。
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作者名：みずき＠佐香智久くんlove | 作成日時：2016年11月24日 7時
