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「錦史郎…」
「………練習はしないのか？」
きっちりとしている彼。
私が体育祭の練習をしていないことを不思議そうに思う。
「…えっと、私が出る種目って、どこで練習してるんだろうなって………」
嘘。本当は鈴と同じ種目だけど、ひとりぼっちになることがわかっていたから。
だから、こうして時間を潰そうとしたんだ。
「…Aは私と同じ種目だ。」
「…！そっか！良かった‼」
にへら、と笑って見せると、錦史郎の隣から声が聞こえる。
「君、笑顔が似合うよ。」
「……有馬」
有馬、と呼ばれた人は、私に笑いかける。
その笑顔は、花のように美しくて。
思わず見とれてしまうほどだ。
「僕は有馬燻。えっと……Aちゃんだっけ？」
あれ？どうして私の名前………
「有馬さん、どうして私の名前を？」
「それは、錦史郎が嬉しそうに………」
「有馬。」
「ごめんごめん。」
有馬さんの話を、錦史郎の冷たい声が遮る。
その話の続きは、なんとなくわかった気がした。
私もそこまで鈍感ではない。
「とりあえず、よろしくね、Aちゃん」
「はい、よろしくお願いします」
「君って、何年生なんですか？」
淡いピンクの色をした、長い髪の人が私に話しかける。
「………？私は三年生です。」
「…………げ、先輩じゃないですか……」
この人って、男の人だよね。
「阿古哉。」
「…え………っと」
「僕は阿古哉って言ってるの！分かります？」
「阿古哉くん………よろしくお願いします」
「ふん。」
阿古哉くんはそっぽを向く。
面白い子だな、と思った。
「A………」
「ん？どうしたの、錦史郎。」
「体育の時間くらい、髪を結んだらどうだ。」
私の長い髪を纏める錦史郎。
不覚にもドキッとしてしまう。
「そうだね、結ぶよ………」
髪の毛を結うために纏めた。
すると、雪のように白い手が伸びてきて
私の髪の毛を結ぶ。
「はい、これでいいよね？」
サイドテールになった私の髪。
「有馬さん………ありがとうございます」
結ってくれたのは有馬さんだった。
「べつにどうってことないよ。……とても綺麗だ」
「へ…………？！」
いきなり褒められて、私は照れてしまう。
「あ、えっと…………」
返す言葉が見つからなかった。
その時……………
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作者名：みずき＠佐香智久くんlove | 作成日時：2016年11月24日 7時
