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「よう!A!」
A「…宇髄…さん。」
久しぶりに会う宇髄さん。
また来るって言ってたくせに、
店に一度も顔を出してくれなかった。
宇髄 「嫁も会いたがってたけど、煩くなっちまうからなぁ。
お前が大分悪いって聞いて。」
宇髄さんは、ベッドの側の椅子に腰掛ける。
宇髄 「時透とは上手くいってんだってな。」
A「はい…。でも、こんな体じゃ…何処にも行けない。
あの時の逢引が、最初で最後でした。
宇髄さんのおかげですね。」
宇髄 「…何言ってやがる。
最後なんかじゃねぇ。
これからも、アイツと出かけられるように、安静にしとけ。
時透の泣き顔を見たくねぇだろ?」
A「…うん…。
でも…私のために泣いてくれてる時透君も、見てみたいなぁ。」
宇髄 「喜んでる顔は見たくねぇのか?」
A「…私にはもう…。出来ないよ。」
もう分かってる。
私はもうすぐ死ぬ。
時透君は、
別の誰かと幸せになって。
記憶も戻ったんだから…。
普通の恋ができるでしょう?
こんな身体の私といたって、
迷惑なだけだよ。
いつか、鬼のいない世界で、
幸せに生きてよ。
宇髄 「時透はなぁ!
お前じゃねぇとだめなんだよ!」
突然放たれた大声に、体がビクついた。
宇髄 「時透がどれだけ!
お前を思っていたと思ってる!
煉獄がどれだけお前を愛していたかわかるか!
計り知れない程だ!
その煉獄が、自ら身を引くようなでっかい思いは、
時透がお前に対して抱いていた思いだ!
他の誰でもない!
お前じゃねぇとだめなんだ!
時透の隣は、お前以外受け付けてねぇんだよ!」
その声を最後に、
私は目を閉じた。
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