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幻聴だとは分かってる。
だけど…。
君の期待に応えるよ。
…無一郎君って、
初めて言われた。
天国で兄さんと会ってるのかな。
よし。
時透 「…ぐっ!」
僕は刀ごと柱から抜き取ろうと、
足に力を入れる。
肩が貫通してるんだ。
結構痛い。
でも、
Aが死んだときに比べたら、どうってことない。
っ!?抜けた!
時透 「ハーッ!ハーッ!」
苦しかったけど、更にキツイのはここから…。
この肩に刺さった刀も抜かないと。
これがなきゃ戦えない。
…いったい。
血が止まらないだろうし、
すぐに止血しないと。
…やっと抜けた…。
あまりの痛みに思わずうずくまる。
そしてすぐに立ち上がる。
さっき奴が手当てした包帯で、止血を始める。
状況が悪すぎる。
これだけの傷を負わされては、
役に立てない。
俺は宇髄さんほど体格に恵まれていないから、
数時間で失血死する。
せめて、上弦の壱だけでも倒さなければ…。
まだ生きて戦える人の負担を少しでも減らせ。
死ぬなら役に立ってから死ね!!
刀を持って、玄弥の元へ急ぐ。
玄弥 「時透さん!」
時透 「玄弥!!生きてるの!?
体…つながる?」
玄弥 「厳しい…かもな。」
そうだよね…。
玄弥 「あの…あそこに落ちている
上弦の壱の髪の毛…
取ってきて…喰わせて貰えるか?」
彼は、僕に顔を向け、真剣な眼差しで言った。
玄弥「最後まで…戦いたいんだ…。
兄貴を…守る。…死なせたくない…。」
時透 「…分かった。
一緒に最後まで戦おう。」
僕はゆっくりと黒死牟の髪を拾って、
玄弥に喰わせる。
玄弥 「すまねぇが胴体を…
強く押し付けてもらえるか?」
言われるとおりにする。
…なんだか玄弥がおかしい。
時透 「…玄弥、大丈夫か?」
どうしたの。
時透 「玄弥?
しっかりしろ。頑張れ。」
息が荒い。
時透 「…玄弥?」
急がないと。
さっき駆けつけてくれた悲鳴嶼さんも、不死川さんも、
傷を負いながら戦ってる。
あ、普通に戻って…るのかな?
でも、多分強くなってる。
僕も覚悟を決めなければ…。
時透 「玄弥…。」
玄弥 「?」
時透 「…この刀を…包帯で俺の手に巻き付けて。」
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