もちろん全部、自覚アリ【不機嫌なモノノケ庵】

７【花 ﾊﾅｴ 繪】 ページ8

*

「えっと……はじめまして。芦屋花繪です。よろしくお願いします！！」


噂の『保健室のハナエちゃん』がとうとう教室に姿を現した。

「お前男かよ！！」
「騙された！！」

すっかり先生の巧みな罠にひっかかっていた、クラスのみんな。
特に男子は先生にブーイングの嵐だ。

男の子だったんだ……。

私もしっかり儚い美少女だと思い込んでいたので、正直驚いてしまった。


けれど、それより驚いたのが――

「安倍さんっっ！？」

芦屋くんが、安倍くんと顔見知りだったと言うこと。

話の内容は聞こえてこないけれど、その後も何やら二人でヒソヒソ話をしているようだ。

安倍くんの声、久しぶりに聞いたな……。


これは、私にとって予想外の出来事だった。

安倍くんの周りに友達とかいるところは一度も見たことが無かった。
それに、話しかける人だって一人もいなかった。

失礼だけど、孤高の一匹狼的な。そんなキャラなのかなぁと勝手に思っていたのに。


――そっか、『保健室のハナエちゃん』が安倍くんのお友達だったんだ。


そんなの、別に気にすることでも何でも無いはずなのに、なぜか胸がチクりと痛んだ気がした。

安倍くんと、どうしたらそんなにおしゃべりできるんだろう？
芦屋くんは、どうして仲良くなれたのかな？

もし芦屋くんと、話す機会があったら、そんなコツなんかを聞いてみたいなぁ、なんて。



すっかり、安倍くんのことが気になって仕方ない自分がいた。

けど、まだ……ちがう。
……たぶん。


未確定な自分のある気持ち(・・・・・)を、確認した。



*
-まだ、認められない-


芦屋くんが何やらライバルみたいになっていますが、特に不仲にする予定もありませんのでご安心ください。むしろ仲良くなりますかね


次からギギ編に入ります。

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