40【威 イコウ 光】 ページ42
*
何だろう……。
ハナエくん、一体どうしちゃったの?
雰囲気が急に変わったハナエくんに言葉も出ずに固まっていると、ソレは中身をばらまきながら飛んできた。
ゴッッ
「ぎゃう」
ハナエくんの背中に命中したのは、瓶。
「あーしーやーくーん」
「あっ、べのさーん……」
「お前?勝手に店を抜けて?ここで?一体?何を?してるんだ?」
予想はしていたけれど、やっぱりイツキくん相当怒っているみたい……。
その鋭い目つきのままこちらに一瞥をくれると、すぐにハナエくんに向き直り再び説教が始まった。
シズクちゃんが頑張って抑えてくれているけど、今にも殴りかかりそうな勢いでハナエくんを叱っている。
「イツキ、冷静になるんじゃ!物怪庵の主がこんな往来でケンカしたらダメじゃろ!」
シズクちゃんがそう言うと、街の妖怪達がざわめき始める。
イツキくんを見て口々に「あれが主か」と話をしていた。
「しゃべってる場合じゃなかった!モジャが!」
カピバラさんが、木の実屋でゴイチダという名前だとシズクちゃんの話から分かったところで、ハナエくんがこちらに駆け寄ってきた。
「モジャ、大丈夫?」
「うん……出血はしてるけど、命に別状は無さそう」
イツキくんと目が合った。
私は安堵して少し表情を和らげる。
「A……と、この間の」
「あの子、ケガしとる!」
イツキくんはシズクちゃんの言葉に一瞬目を見開くと、ゴイチダさんを横目で見て、そして近寄った。
「立てます?あなたはケガしてませんか?もし
先ほどの怒った様子とは打って変わって、腰を低くしてゴイチダさんに接するイツキくん。
それに反論して怒るハナエくんをよそに、ゴイチダさんは恐る恐る尋ねた。
「あんたが物怪庵の主か……噂の二代目主」
『噂』、『二代目』
イツキくんのことを指していると思われるその言葉は初めて聞くものだ。
どことなくイツキくんの表情も曇る。
「はい。……巷で、どんな噂が広まってるかは存じませんが、今は俺が物怪庵の主です」
それでも毅然とした態度のイツキくん。
彼が抱くのは、何かしらの揺るがぬ覚悟なのだろう――。
*
-今は二の次なれど-
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レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時