37【媚 ビヤク 薬】 ページ39
*
「ところでェ、この子達は何方様ァ?」
私とハナエくんを見て、コウラ様が話しかけてくれた。
「あ……オレは、芦屋です」
「私は、天……Aと言います」
名字+名前だと、人間だと気づかれてしまうかなと思ったので、咄嗟に名前を名乗った。
コウラもシズクも名前みたいだし……。
「芦屋はバイト、Aは助手だ。二人とも最近雇った」
「あらァ、そうなのォ。これはご挨拶もせずに……大変ご無礼致しました」
そういえば、突然いろいろあったけど、挨拶もしていないんだった!
「私は亀薬堂の主で、コウラと申します」
「私はここの奉公人のシズクじゃ」
「こちらこそ「よろしくお願いします」」
スッ
コウラ様が今度はハナエくんを触る。
「芦屋くんは耳がイイわねェ、両耳セットで私に売らないィ?」
本当にコウラ様って薬オタクなんだ……。
「あらァ?」
ハナエくんとコウラ様を見ていると、コウラ様とバッチリ目が合う。
「Aちゃん、あなた……」
今度は私がターゲットになったようだ!
コウラ様の美しい手が顔に伸びてくる。
「ひぁ……!?」
「やっぱりィ!これは滅多に無い、魅力的な身体よォ」
フードをあっさり外され、顔が表に晒される。
いつもはこれでいるはずなのに、隠世に来てからずっと被っていたからすごく恥ずかしい感じがする。
「いい惚れ薬になりそォ……」
「あー……なるほどな」
それまで黙っていたイツキくんがまさか、ここで反応する。
しかも、助け船どころか、便乗しているし……。
『惚れ薬』……妖怪を惹き付けるこの性質がそうなるというのだろう。
「Aちゃん、どぉ〜?言い値で買うわよ?」
「え、遠慮しまぁ〜す……」
妖怪はどうか分からないけれど、人間は身体を失ったら生えてこないんだから。
「コウラ!遊んでねぇで、薬出してくれ!」
「そうだったぁ、言うのを忘れてたわァ。あの薬、今はないのよォ」
「ないってどういうことだ?」
聞くと、あの「ギギギの親分」がここに来て、イツキくんの分の薬をあげてしまったらしい。
「あの薬を急いで作ってほしい。頼む」
薬をすごく欲しているのが分かる。
印籠を大切だって言っていたのもそうだし、今の様子も……よほどその薬が必要なんだ……。
「時間がかかるけど、今日中には渡せるわァ」
「あぁ」
「待つならお願いがあるんだけどォ……三人の……手が欲しいのォ」
手……!?
やっぱり薬にされちゃうのかな!?
*
-惚れ薬なら自分が欲しい-
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レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時