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21【風 フウリン 鈴】 ページ22

*

「あ、あぁああべのくんっ……!」

こんな激しいの……見たことも聞いたこともないけど。
いわゆるコレは『壁ドン』だ。

……ドンしたのは頭と扉だけど。

すーすーすー

私の心中なんて知りもせず、安倍くんは寝息を立てて眠ってしまっている。
その寝息さえ耳元で聞こえてドキドキするというのに、私は壁に押しつけられるような形で安倍くんに抱きつかれている状態。

心臓にものすごく悪い!!


「あ、芦屋くんタスケテ……」
「……ハッ!」

自分ではパニックになって芦屋くんに助けを求めると、ボーッとしていたのか気がついたように声をあげた。

「安倍さんの行動に、なんだかドキドキしちゃいましたけど……!そうですよね、そういうのじゃないですよね!!」

そう。私もドキっとしてしまったけれど!
安倍くんに何か意図があるわけでもないし、大体そういうムードではまるでないのだ。


結局、芦屋くんが安倍くんを支えてくれて、何とか私は安倍くんの拘束から逃れることができた。


「安倍さん!!!起きて下さい!物怪庵を呼ぶんでしょ!」

芦屋くんが激しく揺すると、やっと気がついた安倍くん。

「……もものけあん来ぉい」

今度こそ、と思ったが、全く呂律がまわっていない。
「もものけあん」って一体何だ!ちょっと可愛い響きだけど……。

ガタガタガタガタ

「え」
「言い間違えてもちゃんと来るんだ……」

ガラッ

扉を開けるとそこには、さっきと同じ『物怪庵』が。

「芦屋……天宮……中入れ」
「お邪魔しまぁす」
「それより安倍さんがちゃんと入ってください!!」

敷居の上に酔っ払いの様にぐだっと倒れてしまっている安倍くん。
芦屋くんに言われ、やっと中に入った。

「芦屋、家どこ」
「朱咲町にある『花芦』っていう生花店ですけど」
「だとさー……行けるか?ん?あー玄関でいいんじゃねぇ?」
「安倍くん、誰としゃべってるの?」

一人で話す安倍くん。寝ぼけているのかな?

リンリン

すると、床の間から風鈴の音が鳴った。

<では朱咲町「花芦」の扉を開きます>

掛け軸に突然現れた文字。
驚く私達に、安倍くんは心底疲れた様子ながら、それは『物怪庵の意思』なのだと教えてくれた。
HELLOの呼びかけに〈HELLO\(°∀°)/〉と顔文字付きで答えてくれるあたり、ユーモア溢れる方のようだ。

「『物怪庵』……つまりこの茶室は、妖怪なんだよ」
「「妖怪なの!?」」

また芦屋くんとハモった。今日だけで何回だったっけ?

*
-常夏の床の間-

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設定タグ:不機嫌なモノノケ庵 , 安倍晴齋 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時

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