もちろん全部、自覚アリ【不機嫌なモノノケ庵】

２【睡 ｽｲﾏ 魔】 ページ3

*

もう中学生じゃないんだもん。
お友達作りだって、日直の仕事だって、何でも先生が何とかしてくれるわけじゃ無いんだから。
自分で何とかしないと！

そう決意していざ、日直の仕事の大半を占める放課後がやってきた。


「机、向かい合わせにした方がやりやすいよね？」

そう、できるだけにこやかに声を掛けた事は、いつも受け身の態度になりがちな自分にしては頑張った方だと思う！

「……」

何も言わないまま、机を後ろに向けてくれた安倍くん。
一応、私の言葉に納得はしてくれたみたいだし、よかった……かな？

安倍くんの顔色を伺っている間に、彼は先生に渡された真新しい日直日誌を開き、シャーペンをカチカチと鳴らしていた。

私も仕事をしないと。

同時に渡された『日直の仕事一覧表』を手にして、私は窓の施錠を確認していくことにする。

春の日差しを避けるべく閉められたカーテンは、放課後までそのまま。
それを一つ一つまとめつつ、同時に戸締まりを確認した。

最初だし、見落としが無いようにキチンとやろう、と気合いを入れて『指さし確認』なんてやっていた私は、全く気がついていなかった……。


安倍くんが、夢の世界に誘われ始めていたということに――。



*
-春眠黄昏に帰す-

３【接 ｾｯｼｮｸ 触】→←１【緋 ﾋｲﾛ 色】

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