14【友 トモダチ 達】 ページ15
*
「俺は芦屋とは違う」
そう言った安倍くんに、意を決して声を掛ける。
「「待って!私/オレも行きます!」」
芦屋くんと声が重なった。
「ハァ?」
明らかに安倍くんのイライラが伝わってくる。
先にターゲットになったのは芦屋くんだ。
「何がしたいんだお前は!!来てもエサにされるくらいだろうが!!」
「だからエサになります」
「さっきまで震えあがってた奴が、何言ってんだ。怖いんじゃねえの?」
「もち、超コワイです」
そう震えながら言う芦屋くん。
「でも、安倍さんだって怖くないわけないですよね」
そう言う芦屋くんの優しい眼差しに惹き付けられる。
そっか、きっとすごく優しい芦屋くんだからこそ、安倍くんとお友達になれたんだ。
「妖怪祓いとして働いていること以外、オレと同じですもん。学年も同じ。体格もオレとたいして変わらないし。妖怪が見える体質も同じ。違う部分より同じ部分の方が多いですよ」
「――!」
安倍くんの目が見開かれた。
やっぱり心の底では『同じ』って言って欲しかったんだ。
安倍くんが一人ぼっちじゃ無くて良かった。
そう思って二人を眺めていると、今度は私にターゲットが移る。
「だけどな、天宮は巻き込まれただけなんだから、危険を冒してまで関わること……」
「ううん、違うよ。私は……『助けたい』と思ったから自分から関わりに行ったの」
あんなにこの体質のこと、他の人にバレるのが怖かったのに……。
あの時は、気がついたら芦屋くんに声を掛けていた。
「安倍くんも『助ける』ために行こうとしてるんだよね……?もしそうなら、私に何ができるか分からないけど、一緒に……連れて行ってほしいの」
俯きながら話すことしかできなかった。
けれど、なんとか最後だけ、言い切って安倍くんの目を見ることができた。
目だけ見上げる様な形になってしまったけれど……。
「――っ!」
一応……言いたいことは伝わったと思う。
けど、目が合った安倍くんは手で口元を押さえ、すぐに目を逸らしてしまった。
ダメ、だったかな……?
「……ま、いいだろ」
また俯いていると、しばらくして肯定の言葉が届く。
「芦屋は奉公人の初仕事として、天宮は……助っ人として、か。実行するのは学校に人がいなくなった夜だ。しっかりエサ役やれよ、芦屋」
「はいっ……」
こうして、私は助っ人として妖怪祓いに携わることになった。
*
-一人じゃないこと-
347人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時