検索窓
今日:6 hit、昨日:10 hit、合計:243,959 hit

11【仲 ナカマ 間】 ページ12

*

「フゥ助かったぁ」
「”フゥ助かった"じゃねーよ。既に助けてもらってたんだろ」
「そうでした!天宮さん、ありがとうございます!」
「……」

上手く言葉が出てこないでいた。
これから聞かれるであろう事に、警告音がうるさく頭の中で鳴っている。

「天宮、お前やっぱり見えてたんだな」

やっぱり。

「あの時も?」
「……うん」
「はぁ」

溜息。
やっぱりそうだ。また嫌われちゃったんだ。

「お前っ……!」
「天宮さん!?」

急に、涙が溢れて止められなかった。
気になる人に嫌われたからとか、そういう事でなく。

「もうっ!安倍さんが怖い顔するから!!」
「なっ!」

軽率な自分に後悔した。

――やっぱり言わなきゃよかった。


少しでも涙を隠したくて、膝を抱えて顔を隠すと、畳を躙り寄る音が聞こえた。

「悪かった」

近くで聞こえた安倍くんの声、思わず顔を上げてしまった。

「怖がらせたみたいで」

首を振る。勝手に怖がったのも、泣いたのも私の方だから。
私が『見える』って言わなければ良かったんだから。悪いのは自分。

「違う。お前は、何も悪くない。今回のことは、俺が勝手に……」

私の心を読んだように安倍くんは否定の言葉をくれた。

その後、言いづらそうに、手で首を触りながら視線を逸らす。

「……とにかく、悪い」

今度は畳みに両手を着いて頭を下げる安倍くん。

「えっ!?」

急なことでどうしたらいいか分からず、キョロキョロしていると、芦屋くんと目が合い、愛想の良い笑顔を向けられた。

「安倍さんは怖い顔してるけど、普段から不機嫌なだけだから。眉間にシワ寄ってても考えてるだけで、怒ってなかったりするし。それにオレと比べると、天宮さんにはすごい優しいから、大丈夫!」
「芦屋ァ?」
「ほぉら!オレの方が、いつももっと怒られてるし……ヒッ!」
「余計な事言うな!」


安倍くんと芦屋くんのやりとりを見ていて、私は段々安心感を覚えてきた。

もしかして、この二人なら大丈夫……。

「見えるの……変じゃない?嫌いに、ならない?」
「もしかして、その事気にしてたんですか!?オレたちみんな見えるんですよ?もう『仲間』じゃないですか!」
「仲間……?」
「そう、仲間!ね、安倍さん」
「……あぁ。その事は全く気にしてねぇから、安心しろ」

今まではいつも……だったから。
そんな風に言ってもらえたことは初めてだった。

「ありがとう」

この二人なら、信じても――。

*
-初めての-

12【蟻 ギギ 犠】→←10【初 ハツミミ 耳】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (223 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
347人がお気に入り
設定タグ:不機嫌なモノノケ庵 , 安倍晴齋 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。