11【仲 ナカマ 間】 ページ12
*
「フゥ助かったぁ」
「”フゥ助かった"じゃねーよ。既に助けてもらってたんだろ」
「そうでした!天宮さん、ありがとうございます!」
「……」
上手く言葉が出てこないでいた。
これから聞かれるであろう事に、警告音がうるさく頭の中で鳴っている。
「天宮、お前やっぱり見えてたんだな」
やっぱり。
「あの時も?」
「……うん」
「はぁ」
溜息。
やっぱりそうだ。また嫌われちゃったんだ。
「お前っ……!」
「天宮さん!?」
急に、涙が溢れて止められなかった。
気になる人に嫌われたからとか、そういう事でなく。
「もうっ!安倍さんが怖い顔するから!!」
「なっ!」
軽率な自分に後悔した。
――やっぱり言わなきゃよかった。
少しでも涙を隠したくて、膝を抱えて顔を隠すと、畳を躙り寄る音が聞こえた。
「悪かった」
近くで聞こえた安倍くんの声、思わず顔を上げてしまった。
「怖がらせたみたいで」
首を振る。勝手に怖がったのも、泣いたのも私の方だから。
私が『見える』って言わなければ良かったんだから。悪いのは自分。
「違う。お前は、何も悪くない。今回のことは、俺が勝手に……」
私の心を読んだように安倍くんは否定の言葉をくれた。
その後、言いづらそうに、手で首を触りながら視線を逸らす。
「……とにかく、悪い」
今度は畳みに両手を着いて頭を下げる安倍くん。
「えっ!?」
急なことでどうしたらいいか分からず、キョロキョロしていると、芦屋くんと目が合い、愛想の良い笑顔を向けられた。
「安倍さんは怖い顔してるけど、普段から不機嫌なだけだから。眉間にシワ寄ってても考えてるだけで、怒ってなかったりするし。それにオレと比べると、天宮さんにはすごい優しいから、大丈夫!」
「芦屋ァ?」
「ほぉら!オレの方が、いつももっと怒られてるし……ヒッ!」
「余計な事言うな!」
安倍くんと芦屋くんのやりとりを見ていて、私は段々安心感を覚えてきた。
もしかして、この二人なら大丈夫……。
「見えるの……変じゃない?嫌いに、ならない?」
「もしかして、その事気にしてたんですか!?オレたちみんな見えるんですよ?もう『仲間』じゃないですか!」
「仲間……?」
「そう、仲間!ね、安倍さん」
「……あぁ。その事は全く気にしてねぇから、安心しろ」
今まではいつも……だったから。
そんな風に言ってもらえたことは初めてだった。
「ありがとう」
この二人なら、信じても――。
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-初めての-
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レア - 凄く面白いです! 朱里ちゃん可愛い! 続きが読みたいです! (2019年2月14日 21時) (レス) id: 47e47ec318 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - わわわッ!!/// 私も不機嫌なモノノケ庵を愛読してまして...。この夢小説を見かけてとっても嬉しく思ってます!!頑張ってください!! (2017年5月31日 23時) (レス) id: 9fc158d11b (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - オケです!これからも更新頑張ってください! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6399b4f188 (このIDを非表示/違反報告)
うし(プロフ) - ハニーさん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります。よろしくお願いします。 (2016年10月6日 23時) (レス) id: 2c2d75bad9 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー(プロフ) - 天宮さん可愛いです!これからも楽しみにしてます! (2016年10月4日 23時) (レス) id: 235af3f7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うし | 作成日時:2016年8月6日 1時