七つ ページ8
A「ぐちさん！」
gt「……A」
寂しそうに少女の名前を呼ぶ
A「あのね、私、さいごにしたいことがあるの」
gt「なに？」
A「結婚」
gt「……結婚…か」
gt「うん、俺とA二人だけの式を今からあげよう」
A「うん！だからね、ゆびわ！みつけたの！それにはなかんむりももってきた！」
嬉しそうにこの前の花冠と少し寂れた指輪を出す
指輪は装飾は無く、シンプルなもので指輪かどうかすらも怪しかった
だけど、それで良かった
gt「最高じゃん」
A「ありがと！」
gt「…行こっか」
A「うん！！」
ぐちつぼは自分の花冠を右手で持ち、左手でAの手を握る
二人は今までで一番強く手を握り合い、笑いながら花畑へ走った
A「はい！ぐちさんがやって！」
と自分の花冠をぐちつぼに渡す
ぐちつぼはそれを受け取って
gt「俺と出会ってくれてありがとう。A」
A「うん、私のほうこそありがとう」
gt「次、Aの番」
Aに花冠を渡し、花冠を乗せやすいようにしゃがむ
帽子が無い深緑の髪に、綺麗な花冠が乗る
A「私、ぐちさんのおかげですっごくしあわせだったよ」
gt「……俺も、Aのお陰で幸せだったよ」
寂しそうな顔で言うぐちつぼ
A「そんな顔しないで！ゆびわ！」
gt「……そうだよな、折角の結婚式だもんな」
ぐちつぼは目に涙を溜めながら跪き、
gt「俺と居てくれてありがとう。ずっと、ずっと愛してる」
gt「結婚してください」
A「……よろこんで！」
少し傷がついた薬指に銀の指輪が付けられる。
gt「……緩いな」
A「いーの！私もぐちさんにゆびわつけたい！」
gt「うん、つけて」
Aは涙を一粒溢し、幸せそうに笑って
A「ぐちさん、私を愛してくれてありがとう。」
A「すっごく、幸せで、楽しかった」
自分より大きな薬指に指輪をつける
A「ちょーどだね！」
gt「お、やったー」
二人は花畑の真ん中でキスをした
たったの二人だけの結婚式
周りみたいに豪華で華やかでは無いが、二人にはそれが丁度だった
A「…じゃあね、ぐちさん。はなかんむりはもってて」
gt「……うん」
A「だいすきだよ。今までありがとう」
gt「俺も大好き。守れなくてごめんな」
二人は強く抱きしめ合った
いつもは一緒に帰っていたが、今日は二人とも違う方向
二人の足音と啜り泣く声、草や葉同士が擦れる音が月明かりに照らされた
彼女の処刑まで、あと一日
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作者名：空飛ぶしじみ | 作成日時：2023年3月3日 20時
