かわさきさん家 (ページ27)

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# ０３ページ27

「織山 ... 」

尚「とりあえず一回起きろ」

こんな細い体でどこから力湧き出てんだってくらい男らしく起き上がらせてくれる

尚「 ... なんで一人で泣くかな」

「泣いてない」

尚「めんどくさい。素直じゃない。目赤い」

「うざ、」

尚「それでいいよ。別に。とりあえず俺来たし泣きたいだけ泣きな」

「泣いてないってば」

尚「はいはいわかった。」

泣いてないって言い張りながら自分でも分かるほど声が震えてる私を特に何を言うわけでもなくただ赤ちゃんをあやすように優しく背中を摩り続けてくれた織山

「どうするのが正解だったのかな」

彼も彼で色々と思いすぎやすい性格だからこそなんでも話しやすい。

独特な世界観で掴めないけど私は織山が持つ世界が大好きなんだ。

尚「正解とかないでしょ。俺でもそうなる。

人間ってさすれ違うのが当たり前なんだよなぁ。感性だって性格だって同じ人間とかいないじゃん。ぶつかることに間違いなんてないんだよ。」

なんて相変わらず同い年に見えない発言をする織山に引き込まれそうになる。

尚「ラウールは背中を押して欲しかった。でもAはそんな簡単に頑張れなんて言えるわけもない ... しょうがないよ。逆にお前が素直に頑張れとか言ってたらなんか変な薬でも飲んだのかと思う」

時折冗談を混ぜつつ空気を変えてくれる織山は少し悲しそうに笑った。

尚「お前ら人間味あって羨ましいなぁ」

「、え？」

尚「ほら、俺はさ」

急にそんなことを言い出したかと思えば気まずそうに目を逸らすから無理やり顔をこっちに向かせると目を見開きびっくりしたような表情に

「私は織山の感性も、性格も、唯一無二の世界観も、だいすきだよ。人と違うなんて ... そんなこと絶対思わないで」

織山は俗に言う 蛙化現象 の持ち主で片思いしてる相手と両思いになった途端冷めてしまうらしい。

蛙化現象のしんどさは私には分からないけどそれでも織山尚大という一人の人間が持つ世界観に魅了される人は山ほどいるはず。

だから周りと違う、自分は変。なんて思わないで欲しかった。

尚「励ましに来たつもりが励まされちったよ。」

「私だって。きっとこのまま一人だったら余計しんどかったと思うし ... よっし、ラウールに謝りに行かなきゃ」

今は素直に応援できなくてもいつか必ず頑張れって伝えるからそれまで待ってて欲しいな ... なんて。